生活保護費・生活保護利用者の減少は
そもそも喜ぶべきことなのか?

 2014年5月14日、2014年2月の生活保護統計が公表された。生活保護利用者数は、17年5ヵ月ぶりに減少に転じていた。「朝日新聞デジタル」では、以下のように報道されている。

生活保護受給、17年ぶり減 2月、前月比368世帯
今年2月の生活保護の受給世帯は159万8818世帯で、前月より368世帯減少した。(中略)受給世帯の減少は17年5カ月ぶり。受給者数も、過去最多だった前月より1546人減り、216万6381人だった。
(中略)
今回の世帯数の減少について、同省は「失業率や有効求人倍率の改善など雇用情勢の回復が減少につながった可能性がある」とみる。ただ今後も減少傾向が続くかについては「引き続き注視が必要」と慎重だ。

 筆者は「なぜ?」という疑問を感じる。この17年間、生活保護利用者は確かに増加しつづけてきた。最大の原因は、進行する一方の高齢化である。そこに非正規雇用の拡大とリーマンショックが追い打ちをかけた形だ。低年金・無年金高齢者の増加は、高齢者に対する所得保障の仕組みが確立されていない以上、今後も進行し続ける。もちろん、「高齢者に対しては医療を差し控え、病気を抱えた高齢者は生きられないようにする」など「禁じ手」というべき施策が広く実施されるようになれば、この限りではない。そして、現政権はその「禁じ手」に踏み込もうとしてもいる。今国会に提出される可能性もある尊厳死法案の実体は、この「コストのかかる人を死なせて減らす」という「禁じ手」そのものだ。尊厳死法案の問題は、生活保護問題と深く関連してもいるのだが、今回は踏み込まない。

 生活保護費・生活保護利用者・生活保護世帯の減少は、筆者には喜ばしいこととは感じられない。「貧困問題が改善され、生活困窮者が減少した結果として、生活保護を利用する必要性そのものが社会から減少した」ならば喜ぶべきことなのだが、その裏付けとなるデータは見当たらない。そして今後も、貧困や生活困窮といった問題そのものが解決していく兆しは全く見えない。働くことのできる現役世代に限っても、現政権は、非正規雇用・低賃金労働を現在以上に拡大させる意図であるようにしか見えない。

 さらに、「生活保護をなるべく申請させず利用させない」が最大の意図であるとしか思えない改正生活保護法が、7月1日より施行される。

 次回は引き続き、本記事公開日である5月30日に開催される予定の基準部会での議論をレポートする予定だ。

 現状では、せめて「何が行われているのか」から目をそらさずにいる努力を続けるしかない。

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本田由紀氏推薦文
「この本が差し出す様々な『リアル』は、生活保護への憎悪という濃霧を吹き払う一陣の風となるだろう」