画像の説明 日本企業は優れた品質管理手法を取り入れた結果、アメリカやイギリスの店頭に、地元のライバル企業よりも安くて良質な製品を並べることができるようになった。

 彼らがこれを実現した過程について調べた結果、西洋人はデミングやジュラン(東洋が思想を取り入れた2人の西洋人)の価値を見直すことになっただけでなく、日本のビジネスマンの市場に対する見方は自分たちとは異なるということも知った。

 日本の競争戦略の熾烈さを目の当たりにした評論家たちは、日本人は市場を戦場と見ており、ビジネスを「行なっている」のではなく、ビジネスを「戦っている」という結論に至った。さらに研究を進めると、アジアのビジネスリーダーたちは古典的な中国の軍事戦略に絶大なる意義を見出しており、その基本的原理が日常生活のさまざまな側面に当てはまると考えているらしいことがわかった。

人生と業績

 孫子の正確な生没年月日はわかっていないが、孔子とほぼ同時代の今から2400年以上前に生きた人物と考えられている。武将の家柄に育った彼は、軍事に精通するようになり、後にその専門家になった。歴史家の共通した見解では、彼は現在の付近で数々の戦いに勝利を収めた武将であった。彼が仕えた呉国は当時の支配的勢力になったと記録されている。それ以後、孫子の書をたしなむのは中国の軍人のならわしとなった。

思想のポイント

●孫子の兵法
『孫子』(The Art of War)は、戦いで勝利するための基本的戦略についての彼の思想をまとめたものである。この書は数々の言語に翻訳され、英語版も多数のバージョンがある。本稿は、シャンバラポケットクラシックス版(インターネット上でも閲覧可)のトーマスクリアリー訳をベースにしている。また、タトルとワーズワースから刊行されている2版も参考にした。

 孫子の逸話や思想は、全体でわずか25頁ほどの文章であり、13の篇目に分かれている。

(1)始計(strategic assessments)
(2)作戦(doing battle)
(3)謀攻(offensive battle)
(4)軍形(formation)
(5)兵勢(force)
(6)虚実(emptiness and fullness)
(7)軍争(armed struggle)
(8)九変(adaptations)
(9) 行軍(manoeuvring armies)
(10)地形(terrain)
(11)九地(nine grounds)
(12)火攻(attack by fire)
(13)用間(use of spies)