舌鋒鋭い批判と日本の経済活動への親近感
「面白い隣人」韓国が抱える本当のリスク

「韓国はとても面白い国!」――。先日、韓国に住んでいるジャーナリストの方と話す機会があったが、そのとき筆者が受けた印象だ。

 大統領である朴槿恵氏自ら、ことあるごとに鋭くわが国のことを批判してきた。その態度はそう簡単に変わることはないだろう。大学教授の中には、「日本代表サッカーチームのユニフォームは軍国主義の象徴」と主張する人までいる。

 その一方、ジャーナリスト氏によると、国民感情は必ずしも“反日”、あるいは“嫌日”ではないという。確かに、私自身が韓国との合同会議に出席したとき、韓国企業関係者が日本の技術などに対して示す関心の高さには、驚かされるものがあった。

 また友人の経済学者は、「韓国の知識階層には、むしろ親日派が多い」と指摘していた。その証拠に、彼の書いた経済書のいくつかは韓国語に訳されて韓国で出版されているという。 

 おそらく韓国の人たちは、舌鋒鋭い批判と日本の経済活動などに対する近しい感覚の両方を持ち、TPOに合わせてそれらを使い分けているのかもしれない。そう考えると、何となく納得が行く解釈が可能だと思う。裏を返せば、それほど韓国人は自国の経済に課題を感じていると言えるからだ。この機に、「面白い隣人」韓国の経済が抱える本当のリスクを分析してみよう。

 韓国は、経済面でいくつかの問題を抱えていると指摘されてきた。その中で最も重要な点は、韓国経済が財閥企業、特にサムスンに深く依存していることだろう。今後、仮にサムスンの収益力に陰りが見えてくると、韓国経済全体が厳しい状況に追い込まれることになりかねない。

 5月10日、サムスン電子のイ・ゴンヒ(李健熙)会長が急性心筋梗塞で倒れた。ソウル市内の自宅で呼吸困難に陥り、近くの病院にかつぎこまれ、心肺蘇生施術を受けた。その後、血管拡張器を挿入する施術を受け、今のところ容態は安定に向かっていると報道されている。