――新聞社にとっては嬉しい言葉でしょうね(笑)。本当にオールドメディアの将来は明るいのでしょうか。

 悲観することはないでしょう。世の中でなくなりそうな業態はたくさんありますが、ニュースメディアがなくなることはない。社会的な役割があるからです。

 オールドメディアは、とても素晴らしいビジネスモデルをつくってきました。個別宅配の新聞にせよ、電波行政に守られた放送モデルにせよ。ただ、これまでと同じ収益を得られるかというと、そうとは限らないでしょう。

 オールドメディアの弱点は、記者の給料が高いことです。これは今後、残念ながら是正されます。その後、再編が起きるかもしれませんね。

――中には、記事に記者のプロフィールを入れたり、顔写真を載せたりしてスター記者を生もうとするメディアも出ています。

 それは、正しいです。これまで、そういうことをやってきませんでしたからね。記者のレベルって幅がある。本当に優秀な人から、……な人まで、かなりばらつきがある。それも、記事の匿名性で守られていたからだと思います。

 それが署名となれば競争が働きます。淘汰も起こりますが、全体として、記者のレベルが上がると思います。

――原発事故直後、私も東京電力の記者会見に参加していましたが、ニコニコ生放送で生配信されていたため、その質疑応答を記者名と共にすべてメモ起こしをする人が現れました。会見が可視化されましたね。

 ニコ生で記者会見の様子を配信するようになって、記者の質疑応答の様子が公開されました。すると、下手な質問をした記者は叩かれる。おこがましいかもしれませんが、それがオールドメディアのレベルを上げたのだと思います。

――川上会長は、アマゾン・ドットコム創業者のジェフ・ベゾス氏が米ワシントンポストを買ったように、新聞社を買収したいという気持ちはあるのですか。

 まったくそんな気はないですよ。第一、いくらあれば新聞社を買えるのですか。そんなお金はありません。

 将来的に、オールドメディアは、一旦、経営状況が悪くなるかもしれませんが、何かの拍子に、従来と同じか、更に儲かるような構造を生むかもしれません。仮に、日経さんの電子版を月額5000円で契約する人が300万人に達したら、流通コストがかからないわけですから、どれだけ儲かるのかということですね。