政府は、2014年の年金財政検証の結果を公表した。年金財政検証とは、人口や経済の動向を勘案して少なくとも5年ごとに、財政見直しの作成及びマクロ経済スライドの開始・終了年度の見通しの作成を行い、わが国の年金財政の健全性を検証する目的で行われているものである。そして、次の財政検証までに所得代替率(現役世代の平均手取り収入に対する年金受取額の比率)が50%を下回ると見込まれる場合には、給付及び負担の在り方等を含めて別途検討を行い、所要の措置を講ずるものとされている。今回は2014年財政検証の結果を骨太に分析してみたい。

これほど精緻な前提を置いて
財政検証を行う必要があるのか

 はじめに、2004年に改正された現在のわが国の年金財政のフレームワークを確認しておこう。主要な柱は次の4つである。

年金財政検証をどう読み込むか――<br />本当に重要なことは良い政府と経済成長出所:第 21回社会保障審議会年金部会 平成26年6月3日 参考資料1-1

 そして、これを図示すれば次のようになる。

 ところで、今回の財政検証の結果をチェックする前に、諸外国で年金の財政検証がどのような前提の下に行われているかを見ておこう。諸外国の公的年金の財政見通しに用いる経済前提を見ると、わが国(前回の財政検証時:今回は更に精緻化)がもっとも精緻に数字を積み上げていることがうかがえる。