ルー・ガースナー

 ルー・ガースナーの経歴は信じられないほどすばらしい。豊かな教育を受け、工学と経営学を専攻したガースナーは、マッキンゼー社で経営コンサルタントの仕事に就いた。31歳でシニアパートナーに昇進、これは同社の最年少記録だった。これに肩を並べる華々しい出世が、一流企業のアメリカン・エキスプレス社(アメックス)そしてRJRナビスコ社、IBM社と続く。

 アメックスで、ガースナーは低迷しているクレジットカード事業を生き返らせた。RJRでは負債の山の一掃に取り組み、20世紀の巨大企業買収の体制を整えた。

 IBMでの仕事は絶対に勝ち目がないように思われた。かつて偉大だった企業が船底に穴をあけられ、タイタニックよりも早いペースで沈んでいるというような状態だった。ヘッドハンティング会社から「国のために」と説得され、ようやくガースナーは決心を固めた。それから8年でIBMはよみがえった。

生いたち

 1942年3月1日、ニューヨーク州ミネオラで4人兄弟の2番目の息子として生まれた。子ども時代の教育には、地元のカトリックの学校が大いに貢献している。高等教育は、現代における数多くの一流エグゼクティブが経験している、まさに絵に描いたような進級、進学だった。まず、専門的な知識を身につけるためにダートマス大学で工学を学ぶ。1963年に卒業。次にハーバードビジネススクールでMBAを取得し、1964年、経営コンサルティング会社マッキンゼーに入社した。

成功への階段

 マッキンゼーで、ガースナーはとんとん拍子で出世し、28歳でディレクターに任命される。

 マッキンゼー以後の経歴も、やはり目を見張るものがある。1980年代に働いたアメリカン・エキスプレス社では、同社のクレジットカード部門を立て直し、その純利益を66%増加させた。