印ランバクシー・ラボラトリーズの事実上の売却を決め、損切りを断行した第一三共。「複眼経営」にみそが付き、先進国での新薬販売に浮沈が懸かる。 本誌・

「今年は非常に重要な1年になる」。国内製薬大手、第一三共の幹部は危機感をにじませる。現在の主力製品のピークアウトが間近に迫る中、新たな大黒柱となる新薬へスムーズにバトンタッチできるか、つなぎ目の年となるからだ。

「パテントクリフ」。莫大な利益をもたらしてきた主力製品が特許切れを迎えた際に、他の製薬会社が同じ有効成分のジェネリック医薬品(後発品)を投入してくるため、製品売り上げがまるで崖(クリフ)から転がり落ちるように下降することを指す業界用語だ。日本語で言えば「特許の崖」。研究開発型の製薬会社に付きまとう最大の懸念だ。

 例えば、製薬大手、エーザイでは2010~11年、主力製品だったアルツハイマー病治療薬「アリセプト」の特許が切れ、同製品の12年3月期の売り上げは、前年同期の2904億円から1471億円へと半減した。

 第一三共において、パテントクリフが近づく主力製品は、高血圧症治療薬「オルメサルタン」(国内製品名・オルメテック)だ。

 04年に発売されたこの大黒柱に、第一三共は14年3月期の連結売上高1兆1182億円のうち、26.8%(3002億円)と4分の1以上を頼っている。