「出し切ったと思っていたのに……」。小用直後や、ゴルフのスイングをしたときなどに起きる軽度の失禁。いわゆる“尿漏れ”の悩みをひそかに抱える中高年男性は多い。

 50歳以上のシニア男性のうち、軽失禁を経験した人は、3人に1人に上り、女性の比率と変わらないという調査もある。主な理由は、加齢による前立腺肥大で、男性なら誰にでも起こり得る。

 だが、これまで男性向けの尿漏れ対策商品といえば、分厚い介護用の大型パッドやおむつが中心。中高年男性たちは、女性用の軽失禁パッドを転用したり、色の濃いズボンをはいたりなど、涙ぐましい努力を強いられてきた。

狙いは人口増のシニア男性 <br />急拡大する“軽失禁”市場今年、各社が投入した男性用軽失禁パッド。手に取りやすいデザインが施されている
Photo by Hiroaki Miyahara

 今年3~4月、この潜在的なニーズに目を付けた日用品大手の花王やユニ・チャーム、大王製紙、日本製紙クレシアが、ほぼ一斉に男性用の軽失禁パッドを投入、新市場の開拓を始めた。

 各商品とも、スーツ姿でもパッド着用がばれない形状により、男性特有の軽失禁に特化。また、トイレの個室にもサニタリー(衛生)ボックスがない男性のため、一日中交換せずに済む吸収力や、消臭や殺菌効果といった工夫も施されている。