アラカンの系譜を継ぐ
反逆とニヒリズムの魂

 そんな成田の後輩の役者、渡瀬恒彦が「成田三樹夫さんのこと」を書いている。渡瀬が成田と共演したのは『仁義なき戦い・代理戦争』『安藤組外伝・人斬り舎弟』『実録外伝・大阪電撃作戦』『赤穂城断絶』『影の軍団・服部半蔵』の5本だった。

 共有できた時間は短かったのに、どうして気になる存在だったのかを考えて、渡瀬は自らこう答える。

「私は成田三樹夫さんのファンだったのです。古武士を思わせる風貌と失われつつある日本人の原点を持っていた成田三樹夫さんに魅了されてしまった一ファンだったのです。先輩として見たこともなく、同業者として見たこともなく、いつもファンという立場で、成田三樹夫さんのことを見ていたのです」

 成田より2歳上で先輩の菅原文太は成田と親しかった。菅原は役者仲間とはほとんど飲むことはなかったのに、成田とは気が合って、何度か酒席を共にしたという。

 1990年4月12日、東京は調布の寺で行われた成田の葬儀で弔辞を読んだ菅原は「あなたは芸能人ではなく、俳優であり続けたのです」と、遺影に向かって語りかけた。

 成田も好きだったろうアラカンこと嵐寛寿郎は、竹中労著『鞍馬天狗のおじさんは』(ちくま文庫)で、こう言っている。

「ワテは前から維新ものがやりたかった。アラカン何をゆうやらと嗤われるかも知らんが、詮ずるところ男のドラマは革命や。それとまあ、ニヒリズムでんな。だれよりも勇敢に闘うて、だれよりも無残に裏切られていく。そんな人間を演じてみたいと願うておりましたんや」

 反逆の血の騒がない男など魅力がない。アラカンの系譜を継ぐ成田の反骨を、郷里の先輩としても、私は自信を持って推したい。