急速に進むグローバル化を始めとしたビジネス環境の変化を前に、多くのビジネスパーソンが悩み、戸惑っている。その一方で、幼少期から多様な国籍と価値観の中で生活することが「当たり前」という環境で教育をしているのがインターナショナルスクールだ。前回記事では、インターナショナルスクールの教育で身につく力を「届ける力」と「受け容れる力」の2つに区分し、実際の教育現場レポートを通じて「届ける力」について解説した。今回は前回に続いて、実際の企業現場や海外教育経験者の声を元に、インターナショナルスクールで身につける「受け容れる力」が具体的にどのようなビジネススキルにつながるのか解説する。

生き残るための必須スキル「受け容れる力」

前回記事では、急速に多様化する社会で活躍できる「グローバルプレーヤー」に求められる2つのコミュニケーションスキルとして、「受け容れる力」と「届ける力」があると述べた。今回取り上げる「受け容れる力」は、企業やチームにとって「届ける力」以上に重要な意味を持っている。

 株式会社ディスコが2013年9月に実施した「外国人社員の採用に関する企業調査」によると、2013年に外国人留学生を採用した企業は調査対象全体の35.2%だったのに対して、2014年の採用見込みは全体で48.4%とほぼ半数に達し、特に従業員規模1000人以上の大手企業では69.0%と、外国人採用に対する積極性が一層高まっていることが伺える。

 なお、同調査によると外国人留学生採用の目的としてトップだったのは「優秀な人材を確保するため」、次に「海外の取引先に関する業務を行うため」となったが、「日本人社員への影響も含めた社員活性化のため」が4割強、「ダイバーシティ強化のため」も2割強と、社内の環境変化を進めていこうとする企業の意識も強く見られる。

 このように人材の常識が変わろうとする環境下では、ますます多様性に対する「受け容れる力」が必要とされるのは間違いないだろう。次に、実際の企業現場の事例を元に、「受け容れる力」がもたらす組織の変化を見ていこう。