中国・国家発展改革委員会(発改委)は、8月20日に日本の自動車部品メーカー10社に対して、過去最大規模である12億3500万元(約200億円)の制裁金支払いを命じた。デンソー、三菱電機などの日本の大手自動車部品メーカーがほとんど一網打尽となった。

独禁法運用の本格化、公正な競争環境への期待、国内産業の育成などが今回の制裁金支払いを命ずる目的だと日本の世論は見ており、それには筆者も賛同できる。しかし、外資叩きという議論はあまりにも短絡的である。中国はまだ資本が絶対的に不足しており、技術の開発もかなり立ち遅れているからだ。にもかかわらず、あえて外資叩きに見える行動に出るのは、自動車部品に限って見た場合、あまりにも中国メーカーの出番がなく、中国政府にイライラが募っていたからだろう。

では、なぜ日本の部品メーカーをターゲットにしたのだろうか。中国の現場から、地元で見た日本企業の特徴や中国政府の部品産業の育成に対する姿勢などについて報告したい。(在北京ジャーナリスト・陳言)

発改委からの突然の発表
一網打尽にされた日系企業

 8月20日に制裁金支払い命令が出される、半月前のことだ。8月6日に行われた発改委の記者会見において、国営のメディアが突然独禁法関連の質問をした。それに対して、李朴民報道官は、不意打ちされた様子もなく、ゆっくりと目の前の資料を見ながら、調査によってアウディとクライスラーで独占行為が行われおり、近いうちに処罰を与えると発表した。

 李報道官はここから話の方向を一転させ、驚くべきニュースを公開した。発改委はすでに12社の日本企業を対象に、自動車部品とベアリングの価格における独占行為に対する調査を行い、また法に則って処罰すると話したのだ。その時は報道官は12社の社名には触れなかった。半月後の20日に12社の社名を公表し、違反行為を白状した2社を除き、その他の10社(矢崎総業、古河電気工業、住友電気工業、愛三工業、三菱電機、ミツバ、デンソー、日本精工、NTN、ジェイテクト)に対する制裁金支払い金額もあわせて明らかにした。

 これは、独占を取り締まる調査の「鉄槌」が、中国国内の酒造会社から外資系の製薬会社、MSなどのパソコンOS会社へ拡大して、さらに自動車製造者から部品企業に向けらていることを物語っている。

 自動車産業の独占行為において、部品メーカーは重要な一部の役割を担っている。海外メーカーは部品の生産を独占し、また販売者、合弁会社と提携して授権方式で部品の提供と販売を独占している。その部品は、自動車製造者(完成車メーカー)によって価格を大幅に引き上げられ、また日本の自動車専売店(ディーラー)にあたる「4S店舗」に提供され、最終的に消費者に購入してもらうようになっている。外国企業の部品市場における独占は、中国の自動車市場のねじれの重要な原因であると思われている。