世界的な経済危機に見舞われた株式市場は、この2年間で激変した。日経平均株価は春先からようやく回復に転じたものの、景気の“二番底”不安や急激な円高により、直近で再び1万円割れを起こしている。玉虫色とも言える不安定な回復相場で、個人投資家が手堅く儲けるためのコツは何か? フリーアナウンサーで投資家としても名高い生島ヒロシ氏が、過去の教訓を基に、個人が心得るべき投資の要諦を徹底指南する。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也、撮影/宇佐見利明)

生島ヒロシ
いくしま・ひろし/1950年生まれ、宮城県出身。生島企画室代表取締役会長、東北福祉大学客員教授。カリフォルニア州立大学卒業後、76年TBSにアナウンサーとして入社。89年に退社しフリーに。レギュラー番組は「生島ヒロシのおはよう定食・一直線」(TBSラジオ)「塾長・生島ヒロシの定年塾」(UHF系)。FP、福祉住環境コーディネーター、ヘルスケア・アドバイザーなどの資格を有し、プロ顔負けの投資家としても知られる。

――2007年後半から顕在化したサブプライム問題、08年後半のリーマンショックを経て、この2年間で世界の株式市場は激変した。日経平均株価は、一時7000円割れを起こしたほどだ。「有名人投資家」として名高い生島さんは、未曾有の危機をどうやって乗り切ったのか?

 サブプライム問題が顕在化した07年秋に、私は金融資産の7割方を売ってしまった。信頼しているファイナンシャル・アドバイザーに、「一刻も早く資産を整理しろ」と忠告されたためだ。

 彼は、日米で証券会社を運営している人物で、ヘッジファンドのファンドマネジャーたちにも人脈が多く、情報の精度には定評があった。「この市場の動きはこれまでと明らかに違う。普通の火事ではなく山火事だ」という彼の言葉に、背中を押されたのだ。

 お陰で、その後に続いたリーマンショックで大損を被らずに済んだ。

 「投資は自己責任」とはいえ、多くの個人投資家は頻繁に相場をチェックできないし、売り抜ける踏ん切りもなかなかつかないものだ。「プロの助言は本当に有難いものだ」と、心底思った。

――07年に資産を整理して以降、投資はやっていないのか?

 サブプライム問題が顕在化する以前は、IPOブームで注目された個別株をはじめ、アクティブファンド、ETF(株価指数連動型上場投信)、REIT(上場不動産投信)、商品先物取引、FX(外国為替証拠金取引)など、あらゆる投資商品に手を出していた。一時は未公開株も買ったことがある。

 だが、07年に資産を整理して以降は、極力リスクをとらない投資を心がけている。今持っているのは、中国、ブラジル、ベトナムなど、新興国関連のインデックスファンドだ。個別株では、21世紀に伸びるであろう次世代産業で頑張っている企業に注目している。「積み立て型」の投資に軸足を移し、短期売買で大きな利益を狙うのは止めた。