アサヒビールに異変が起きている。今年上半期(1~6月)のビール類の課税出荷数量は、前年同期比101%と堅調だったが、陰りが見え始めた。

お中元商戦で独り負け <br />王者アサヒの“一抹の不安”「スーパードライ」と「ドライプレミアム」を持つアサヒビールの小路明善社長。スーパードライのシェアを下半期も維持できるか
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 その傾向が顕著に表れたのがお中元商戦だ。シェアを昨年の57%ほどから、51%に大きく落としてしまったのだ。シェアを大きく落とした理由は、昨年の反動によるものが大きい。

 昨年は、ギフト専用で発売したビール「ドライプレミアム」が大ヒット。当初予定の3倍の343万セットを売り上げた。

 お中元商戦での成功に気を良くしたアサヒは、今年2月、全国の量販店やコンビニエンスストアにドライプレミアムを投入。さらなる売り上げの拡大を狙った。

 ところが、今年のお中元商戦では、この戦略があだとなった。“ギフト限定”というドライプレミアムの付加価値がなくなり、シェアを失うことになってしまったのだ。

 アサヒがギフト商品のシェアを落とす一方で、ライバル他社はシェアを拡大。

 キリンビールは、ギフト限定の「一番搾りプレミアム」を発売、サントリー酒類は販促費を掛けてキャンペーンを実施したことが功を奏した。