企業が求めるのは、実務レベルのビジネス英語力。業容拡大の中、一定の英語力があれば社内で育てようという機運もある。確実に言えるのは、どのレベルであっても、英語力を備えた人材は、仕事の選択肢が広がるということだ。海外赴任や海外営業への異動、または転職においても、英語力は確実に武器となり得る。若い世代の英語力の底上げもあり、各世代の英語力向上は切実なマターになっている。

 英語を勉強する「きっかけ」は何だろう? 仕事を持つ20~50代男女への調査によると、「自主的なスキルアップ」(67.2%)が最も多い(下図参照)。「仕事で必要」(37.4%)「転職・再就職のため」(19.0%)と合わせると、やはりキャリアアップのため、ということになるだろう。

出典:「外国語学習に関するアンケート」(マーシュ調べ)。
調査方法:2014年2~3月。20~50代の男女、有職者1000人にインターネット調査

 例えば、企業の採用や人事査定の目安として広く活用されているTOEIC®テスト。そのテストスコアと収入に関する興味深いデータがある。総合人材サービスのインテリジェンスが運営する転職サービス「DODA(デューダ)」が、ホワイトカラー系職種で正社員として働く約10万人を対象に調査をしたものだ(下図参照)。

出典:DODA調べ。調査方法:2012年10月~13年9月末。前提として、調査対象は「DODA転職支援サービスに登録された方」のデータであるため、400点未満のスコアは意図的に記入されていない可能性がある。そのため「スコアなし」は「未受験、もしくは受験したことはあるが未記入」とした

 

インテリジェンス
キャリアディビジョン
マーケティング 企画統括部
DODA編集長
木下 学氏

 DODAの木下学編集長は「スコア400~600点台では平均年収にほとんど差が見られなかったのに対して、700点より上のスコア層になると、スコアと年収の相関が如実になりました。中でも注目すべきは、TOEIC®スコアなし(未受験など)の人は平均より年収が低く、スコアを持っている人全体の平均(年収522万円)と100万円近くの差がついていることです」と解説する。

 もちろんこのデータはあくまでも“結果論”であり、TOEIC®で高いスコアを取れば年収が上がるということには直結しない。

 だが、少なくとも自分の英語力を数値化することに意識的であり、英語を習得している意欲的なビジネスパーソンが、結果的により高い年収を得ているということがいえそうだ。