世界の白物家電市場に、これまで強烈なインパクトを与え続けてきた英ダイソンと米アイロボット。その両雄がついにロボット掃除機という成長市場で真っ向勝負をすることに──。 

 9月4日午後5時すぎ。東京タワーの真下にあるスタジオの内部には、青色にライトアップされた舞台が設置されており、そこにスーツ姿の男性が姿を現した。

「今日は過去のどんな製品とも違うロボット掃除機を、皆さんにご紹介しましょう」

 男の名前は、ジェームズ・ダイソン。1993年に英ダイソン社を設立すると、長年の技術開発の結晶である、フィルター交換の要らないサイクロン式掃除機の生産を開始。「吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機」として市場を席巻し、年商12億ポンド(約2040億円、2012年度)に成長させた半生はもはや伝説だ。

 そんなダイソン氏がこの日に“宣戦布告”をした相手が、02年からロボット掃除機の市場で独走してきた米アイロボット社だ。

 細長いステージの床に約5グラムの真っ白い重曹の粉末をバラまくと、お披露目したばかりのロボット掃除機「ダイソン360eye」(来春発売予定)と、アイロボット製の最新機種「ルンバ880」を用意。あろうことか、公衆の面前で“力比べ”を始めたのだ。

ダイソン参戦で激化する<br />ロボット掃除機の“日本争奪戦”会場では、ダイソン氏自身が新商品「ダイソン360eye」(左下)と、アイロボット社の 「ルンバ880」(右下)を比較実験した