国会が始まった。地方創生国会とはいうものの、足元の経済状況が重要な争点になる。

 政府は7~9月期のGDP統計を見て、来年10月からの10%への消費再増税を判断すると言っている。7~9月期の一次速報の公表は11月17日、二次速報は12月8日。実は、一次速報に7~9月期の法人企業統計を組み合わせれば、二次速報の値はほとんどわかる。7~9月期の法人企業統計の公表は12月1日。そこで、12月になれば、7~9月期のGDPはまずわかる。

 ここでポイントは、今国会会期は11月30日までということだ。政府の基本的なスタイルは、消費増税でどのような質問があろうとも、「適切に判断して、12月に最終的な判断をしたい」である。そのようなスケジュール取りになっているので、野党が詰め切れなければ、政府は逃げ切れる。

 ただし、これでは国民は満足しないだろう。政府の答弁は、最近の麻生財務相の発言を見ればわかる。9月30日の記者会見で、麻生財務相は、景気認識について、「雇用環境は着実に改善している」、「消費増税の反動減は予想の範疇」、「7、8月は天候不順」、「9月、10月は盛り返す」と述べている。また、4~6月期の落ち込みはたいしたことがないと言うために、「1~6月期のGDPを均してみるとプラス」という言い方もしている。

 これらはツッコミどころ満載である。野党は国会で攻めどころでもある。

ここがツッコミどころ

 まず、「雇用環境は着実に改善している」。これは、総務省が9月30日に発表した8月の失業率が3.5%に低下したことを受けた発言だ。ただし、雇用関係は遅行指標。これは消費増税なしで金融緩和の効果があった昨年の経済状況を反映しているにすぎない。だから、足元の景気判断にはならないと一蹴できる。

 次に、「消費増税の反動減は予想の範疇」。こうした答えがあったときには、マスコミはいつの時点の予想だったかを聞かなければいけない。記者会見でマスコミは、同じ質問ばかりする。それで答えが微妙に異なると、その言葉尻を捉える。しかし、そんな引っかけなどする時間があれば、予想した時点を聞くべきだ。

 もしかなり前から予想していたら、それはある意味で立派であるが、為政者としては景気の行方をわかりながら悪化させた責任がある。もし、直前の予想であれば、それは誰でもわかる意味のない話だ。