依然として続く“反中”デモ
引き金は“8.31決定”

 香港が荒れている、ように見える。

 9月28日以来、中国の国慶節(10月1日)を挟んで、香港の中心部で“反中デモ”が続いている。

 8月31日、北京の全国人民代表大会(全人代)常務委員会が、2017年に行なわれる香港のトップ・行政長官を決める選挙に関する方案を発表した。業界団体などから選出された1200人からなる「指名委員会」が2~3人の候補者を選出し、そこに対して香港市民が一人一票に基づいて投票するという枠組みだ。

 “反中・反共”的な人物を事実上排除しようとする“普通選挙”に対して、香港の民主派たちは「そんなのは“偽りの民主主義”だ」と反発。同日夜、全人代の下した決定に反発する民主派リーダーらは行政長官官邸前の公園でデモを行い、これに3000人が参加した。翌日の9月1日、全人代常務委員会の李飛副秘書長が香港で説明会を開いたが、ここでも香港の民主派議員約20人が北京の決定に対する抗議活動を展開した。

「“公正な普通選挙”(北京政府の政治的干渉を受けず、香港市民自ら候補者を選ぶ選挙/筆者注)が実行されない場合は“占中”計画を実行に移す」と公言していた香港の民主派は、8月31日の“決定”を受けて、1年以上かけて準備してきた“占中”計画(Occupy Central)を実行すべく本格的な準備を始めるようになる。

 今回の“反中デモ”はこうして実行に移された。直接的な引き金は、北京の中央政府が下した“8・31決定”に他ならない。香港の民主派リーダーたちは、(1)梁振英行政長官の辞任、(2)“8・31決定”の撤回を北京・香港政府に対して要求している。