フィリピン 2014年10月24日

フィリピン在住の退職者が死んでしまったら、どのような手続きが必要なのか(2)
相続手続き「預金を銀行に残して死ぬな」

法定相続人であることの証明

 相続人が法令で定められた、あるいは遺言で指名された正当な相続人であること、さらに他に相続人がいないことの証明書を用意する。妻であれば婚姻証明書、子どもであれば出生証明書、兄弟姉妹であれば出生証明書、法定相続人が亡くなっていれば死亡証明書など。

 これらの書類は日本では戸籍謄本を用意することになるが、これを翻訳してフィリピン大使館の認証を受ける必要がある。これも税務署、銀行などに原本を提出する必要があるので、その部数だけ準備しなければならない。

 そのため複数の戸籍謄本を数カ所に提出することになり、控えも含めて相当数の書類を準備しなければならなかった。日本でやると翻訳料、 公証代や認証代やらで高額になるので、すべての書類をフィリピンで準備することとし、出生証明、死亡証明、翻訳証明などは在比日本大使館で行ない、かなり小額の経費で済ませた。

新聞公告

 遺産分割協議書が準備できたら、新聞社に持ち込んで週に1回、3回連続して新聞に掲載して、協議書の内容に異議がないか世間に問う。その上で新聞社から証明書をもらって、銀行に提出する。

銀行残高証明と相続税の支払い

 以上の書類を銀行に提出して残高証明書を発行してもらい、それを遺産分割協議書、相続人の証明書、死亡証明と共に税務署(BIR)に提出して相続税を計算してもらう。

 ここで問題なのは、相続税を事前に支払わなければならないことだ。銀行から遺産を引き出すためには納税証明書が必要だが、常識的には遺産を受け取ってから税金を支払うものが、フィリピンでは事前に相続税を納めなければならない。

 フィリピンには、日本のように5000万円以下の相続財産が非課税になるというような規則が ない。その結果、相続税を支払わなければ遺産がもらえない、遺産がもらえなければ相続税が支払えない、というニワトリとタマゴの関係になって、にっちも さっちも行かなくなる。さらに後述する保証会社のボンドも絡んで、遺産が引き出せない状況が容易に生じてしまう。

 これについては、遺産の引き出しに先立って、銀行からBIRに直接税金を支払ってもらうよう交渉した。だがこうした対応は銀行のポリシーによって異なるので、かなり難しい交渉を覚悟しなければならない。

 なお、BIRの税金の試算書をチェックしたが、これがいい加減で油断もすきもない代物だった。相続税額を膨らませて、それを少なくする代わりに賄賂をよこせ、という意図が見え見えだ。

1.共同名義の口座は最悪でも課税対象はその半分だが、全額が課税対象となっていた。

2.生命保険は、被保険者でなくて受取人が死んだ場合、それを解約しても掛け金の7割程度しか戻ってこない。しかしに死亡保険金全額が課税対象になっていた。

3.時間の経過により、遺産分割協議書に記載されている定期預金が満期になっていたため、残高証明には普通預金として記載されていた。しかしBIRはその両方を合算して課税対象としていた。

 これらを考慮すると課税対象は半額になり、相続税も半分になった。しかしながら、申請が故人の死亡から半年を経過していたため、多額の利子とペナルティを課せられることは避けられなかった。 


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