フィリピン 2014年10月24日

フィリピン在住の退職者が死んでしまったら、どのような手続きが必要なのか(2)
相続手続き「預金を銀行に残して死ぬな」

保証会社のボンド(Heir's Bond)

 通常は、相続の支払いが確定してからも2年間は支払いが凍結される。他の相続人が名乗り出た場合、2年が時効となっているためで、その間相続人は遺産の受け取りを待たなければならない。

 遺産を速やかに支払ってもらうには、保証会社でボンド(保証金)を設定する必要がある。もし銀行が他の相続人に遺産を支払わなければならない状況に陥ったら、保証会社が肩代わりするわけだ。

 保証料は保証額の2%と見込まれたが、保証会社はそのほかに2名の保証人を立てるよう要求してきた。もし保証会社が銀行に保証する羽目になったら、この保証人は保証会社の損害を補填しなければならないというのだ。いったい何のための保証会社なのか、なんのために掛け金を払うのか腹立たしいこと限 りない。さらに今回は相続人が全員海外居住の外国人ということで、相続資産と同額の定期預金を担保として差し入れるよう要求された。

 しかしある銀行は、この相続保証がなければ税金の支払いもままならぬと言い出してトラブルになった。税金の支払いを終えなければ、銀行の2年の時効カウントが始まらないため、非常に面倒だった。

遺産の引き出し

 すべての書類が整えば、あとは相続人の代表が2通の身分証明書(パスポートと免許証など)を携えて銀行に赴き、預金の引き出しがかなうはずだ。しかし現実には、本店の法務の承認などさまざまな手続きが必要で、一筋縄ではいかなかった。

 この相続手続きをお手伝いした結果、教訓としていえるのは、「預金を銀行に残して死ぬな」の一言だ。もし退職者が余命幾ばくもないという状況に陥ったら、身内の人は銀行から預金を引き出して現金化することを第一に心がけなければならない。そうでなければ相続手続きに途方もない時間と努力がかか る。経費も馬鹿にならず、200万~300万円の遺産なら放棄してしまったほうがましなくらいだ。

 なお、退職者本人が病床にあって意識がなくても、銀行の職員が立ち会って指紋を取ることにより預金を引き出すことができる。委任状に指紋を押してもらって手続きも進めることが可能だが、この委任状は原則、本人の死後は無効だ。

(文・撮影/志賀和民)

著者紹介:志賀和民(しが・かずたみ)
東京出身。東北大学大学院修了後、日揮(株)入社。シンガポールにをかわきりに海外勤務を歴任。1989年日揮関連会社社長に就任しフィリピンに移住。2007年4月PASCO(サロン・デ・パスコ)取締役。

 


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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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