アベノミクスの成長戦略の目玉の一つが、法人税の減税である。現在、わが国の法人税率を引き下げるには、地方税である法人事業税・外形標準課税を拡充する必要があるという議論が行われている。一方この税に対しては、赤字法人課税だ、賃金に課税する税だなどの批判があり、企業にとっては利害得失の生じる見直しである。これをどう考えるかが、今回の法人税議論の評価につながる。

議論の焦点は外形標準課税の見直し

「数年かけて法人税率を20%台に引き下げる」(骨太方針)議論が進んでいる。まずは、現在、実行税率で36%弱の法人税率を、数年かけて29%程度に引き下げることを目標として議論が進んでいく。おそらくその後、さらなる引き下げ、つまり20%台半ばまでの引き下げ議論が行われることになるだろう。

 わが国の法人税率を引き下げるためには、図表1の濃い黄色の部分である地方法人税(法人住民税と法人事業税)も下げる必要がある。すでに法人事業税の内訳ともいうべき外形標準課税の見直し(外形標準課税部分を増やしていくこと)の検討が始まった。しかしこの見直しに対する評価は分かれている。

導入までの経緯と改革の中身

 まず外形標準課税とはどんなものかについて説明をしてみたい。簡単いうと、外形標準課税とは、例えば、従業員数や資本金、賃金や支払利子などその企業が生み出した付加価値という変動が少なく客観的な基準を課税ベースとして、税額を算定する課税方式のことである。

 赤字法人の場合は、所得課税では税負担がないが、外形標準課税では税負担が生じる。現実にわが国が導入している外形標準課税は、所得を課税ベースとする法人事業税の一部を転換したものである。