「プロジェティスタ」という
個人事業主のプロジェクトマネジャー

 このような環境で重要な役割を果たすのが、プロジェティスタだ。肩書きとしては、コンサルタントを名乗る場合が多いようだ。多能工の上にさまざまなビジネス経験を身につけたベテランが多い。あえて年齢幅を言えば、40代半ばから60代が多い。多くはそもそも企業に属していた技術者たちだ。

 イタリアで技術者は、大学もしくは技術専門学校を卒業し、どこかの企業に入社する。最初はある領域のスペシャリストとして育つ。ところが、最後までそうではなく、ある時点から多能工の道を歩き始める。イタリアでも大企業の場合は単能工が多いようだが、中小零細では多能工にならざるを得ない。

 さらに彼らは、管理やマーケティング、企画・戦略、経理、人事労務、リーダーシップなどの知識や経験も身につけ始める。つまり、多能工の上にマネジャーの資質も得るというわけだ。この場合のマネジメントはもちろん、単に管理ではない。経営の資質を身につけると言っていい。

 そして、そのうちのある割合が、それぞれの得意分野を持ったプロジェティスタとして独立していく。

 彼らはその後、さまざまな企業から、プロジェクトリーダーとして雇われるようになる。起業する場合もあるが、個人事業主のままで行く場合も少なくない。

 プロジェティスタは、実質的なプロジェクトリーダーとして、当該企業内外の人材をネットワークし、プロジェクトチームを作り上げていく。彼らは請負であるが、社内に深く入り込み、プロジェクトチームの長としてリーダーシップを発揮する。その企業に常駐して、プロジェクトリーディングをして成果を出していくのだ。

せめて25%は楽しく仕事をしたい

 このように、プロジェクトマネジメントの外注が多いのは、小規模の同族経営が多いからだ。家族でない人間は、どんなに頑張っても経営陣にはなれない。だから、優秀であればあるほど、独立していく。

 2006年になるが、イタリアで実際に何人かのプリジェティスタに取材をした。彼ら全員が、独立の理由を「やりがい」とした。「おもしろい仕事をしたい」という欲求だ。同族経営の会社の中で、自分はそれほどおもしろい仕事は任せられないというのだ。