原油価格が大幅に下落している。10月16日には国際指標である北海ブレント原油は、4年ぶり安値となる82ドル台に下落した。6月の高値に比べると、3割近い下落になっている。米国産のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油も節目となる80ドルを下回った。

 2008年までの原油価格高騰を受け、需要抑制・供給増加という市場メカニズムが働き、原油価格に下落圧力が働きやすくなっている。需要面では、自動車の燃費向上など省エネルギーの効果から、石油需要が抑制されている。供給面では、米国のシェールオイルの増産傾向が続く。

 そうした需給緩和の大きな流れの中で、欧州や中国の景気が下振れ、原油需要の鈍化観測に拍車を掛けている。また、武装勢力と政府の紛争で低迷していたリビアの原油生産が回復しており、イスラム国との戦闘が続くイラクからの原油輸出も順調である。

 こうした中、OPEC(石油輸出国機構)の動向に注目が集まっている。従来、サウジアラビアを中心にブレント原油で100ドルが適正な水準との見方を示してきたが、その水準を下回ってきたため、原油の減産を決定する可能性があるからだ。実際、10日にべネズエラの外相が原油価格下落を阻止するために、11月27日の定例総会を前に、緊急総会の開催を求める発言をした。