「社内政治なんて自分には関係ない」

 この記事を読んでいる方の大半が、そう思われているかもしれません。しかし、立場が変われば、あなたを取り巻く環境も大きく変わります。「役職が付いた途端、社内政治に巻き込まれました」と悩む人の声を、私自身、よく耳にします。

 社内政治は、ある意味で、一定の立場に上り詰めた人が受ける“洗礼”です。では、“一定の立場”とはどんなポジションのことを指すと思いますか。多くの企業の場合、「課長レベル」ではないでしょうか。

 そうであれば、社内政治をただ嫌がるのではなく、課長になれば避けられないものと覚悟して、巧みに乗り越える術を身に付けてみてはどうでしょうか。そこで今回は、避けられない社内政治の実態と、うまく乗り越える方法をご紹介します。

中小企業、オーナー系企業でも
「社内政治」は避けられない!

 10月末に『「課長」から始める 社内政治の教科書』(ダイヤモンド社)という書籍を上梓しました。

「ビジネスは合理性。社内政治なんてムダ」。この考え方が危ない。会社は人の坩堝。必ず「政治」がある。その「政治」に背を向けていては、いくらロジカルシンキングが得意でも「仕事」はできない。とくに、課長になったら社内政治こそ最重要課題。この「社内政治」という非合理なゲームを生き抜く初の「教科書」

 ……こう銘打っています。ただ、「社内政治なんて自分には関係ない」とあなたは思い込んでいないでしょうか。

「当社は従業員が20名の中小企業。社内政治が必要な規模ではありません」

 そう答えてくれたのは、製造業を営む中小企業に勤務している中堅社員のFさん(28歳)。確かに28歳のFさんに見える範囲の世界では、社内政治は不要と感じるかもしれません。ただ、同じ会社に10年勤務して、管理職になったらどうでしょうか?その頃には経営陣の状況も、多少変わっていたりしないでしょうか?