牛丼店「すき家」を運営するゼンショーが苦境に立たされています。ワンオペと呼ばれる深夜の1人勤務で人件費を圧縮し、他社が敬遠する郊外に大量出店しながら、24時間営業で格安の牛丼を提供する独特のビジネスモデルが、アベノミクス以降の人手不足で崩壊してしまったからです。
同社は7月に労働環境改善への第三者委員会の提言を公表しましたが、そこで明らかになった勤務実態は衝撃的です。
破綻のきっかけは2月に2度にわたって首都圏を襲った大雪で、店舗から帰宅できず交代要員も出勤できなくなったことでワンオペの48時間勤務が多発し、不満を爆発させたバイトが次々と辞めていきます。それによってクルーを管理するマネージャーがシフトを組めなくなり、自分が店に入らざるを得なくなって業務管理の機能を喪失、ついには正社員が無断欠勤のうえ行方をくらますようになります。こうして3月中旬には、全国約2000店のうち138店が一時休業に追い込まれました。報告書によればこの時期、一般社員の残業時間は平均109時間に達し、月500時間以上働いたり、2週間帰宅できなかった従業員もいたといいます。
ゼンショーの創業者である小川賢太郎社長は、全共闘による安保闘争が始まった1968年に東京大学に入学し、「資本主義社会であるから世界に貧困と飢えが増殖するという矛盾が生じる。この矛盾を解決するために社会主義革命をやるしかない」と信じて東大全共闘に身を投じました。しかし安田講堂の攻防戦に破れて挫折、大学を中退して横浜港の港湾労働者になり最底辺からの革命を目指します。
しかし1975年、ベトナム戦争終結を見て社会主義革命に見切りをつけ、財務管理やマーケティング、法律などを徹底的に勉強した後、78年に「飢餓と貧困をなくす」ための新たな革命の第一歩として吉野家に入社します。
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