8月15日時点のJR東海(東海旅客鉄道)の株価は109万1千円である。このJR東海の株価は、今は1000円刻みで変更するが、つい先月までは1万円刻みでしか変更できなかった。それはなぜかといえば、先月7月22日注文分から、証券取引所で「呼値変更」【※注1】が行なわれたためである。

【注1】「呼値変更」について
2008年7月22日より、「呼値の刻み」の一部が変更に。変更箇所は下記の2つである。
・1株の値段が、10万円以上30万円以下の場合→100円に変更【変更前は1000円】
・1株の値段が、100万円以上300万円以下の場合→1000円に変更【変更前は10000円】
※詳しくはこちら>> http://www.tse.or.jp/rules/stock/leaflet.pdf

呼値変更で
1%のサヤ抜きが不可能に

 この呼値変更により、買い注文が増えた場合、今であれば株価は109万2千円、109万3千円と刻んでいく。しかし先月(呼値変更前)までは、109万円の次は110万円でしかなかった。109万円1千円から109万2千円に上昇する場合、その上昇率は0.09%でしかない。しかし、109万円が110万円になると0.92%の上昇となり、約1%動くこととなる。

 1%の株価の変動は、株式投資家にとって決して小さいものではない。先月まで、109万円で買って110万円で株式を売るという行為をし続けてきたデイトレーダーが存在したとすると、彼は毎回のトレードで約1%の利益を得ることができていた(実際には売買手数料の負担があるが)。それが、109万1千円と109万2千円でサヤ抜きトレードをしても、ほとんど利益が出ず旨味がない。

 他方、細かい刻み値で株式投資をしたい投資家にとっては、今回の呼値の変更は歓迎すべきことであろう。

JR東海、JR東日本
両社の銘柄比較が容易に

 具体的な影響を見てみよう。先月の呼値変更前でも、株価が100万円未満であれば、株価の刻みは1000円単位であった。JR東日本の株価は90万円前後で推移していた。株価は東日本も東海も100万円近辺で推移していたが、JR東海は100万円を上回っていたので1万円刻み、JR東日本は100万円を下回っていたので1000円刻みでしか株式売買ができなかったわけである。