バンコク発ビジネス・生活情報誌『DACO』編集部が、タイ国内で長く愛用されているロングセラー商品を調査・分析。愛されている理由を考えます。
タイで今も定番としてロングセラーを続ける商品の魅力を考えるシリーズ・第2回です。
【関連記事】なぜ、50年以上経った今も、タイでこの商品が愛されているのか<第1回>
石臼<製造開始年:昭和20年(1945年)以降>

タイ料理に欠かせない唐辛子やにんにくなどをすり潰すための道具。東部チョンブリー県アーンシラー郡と北部パヤオ県バンサーン郡の2カ所で作られている。
花崗岩使用のアーンシラー産は第二次世界大戦後、潮州系移民によって作られ始めた。全体的に白っぽく、銀色の鉱物を含有している。アーンシラー産の石臼は緻密で硬いため、丈夫で見た目も美しいことで有名。しかしここ10年は花崗岩が枯渇し、北部ターク県やペッチャブーン県産の石を使用している。
パヤオ産は、地元の仏師たちが生活のために仏像用の砂岩で石臼を作って売り始めたのがはじまりだが、現在は枯渇した上に砂岩はもろいことから、より硬く質の良い同県メーガー郡産の花崗岩を使用している。
ヘルシーボーイ印の白醤油と金山印の調味ソース<製造開始年:昭和22年(1947年)>

ふたつとも発酵させた大豆がベース。白醤油は中国の食文化から生まれ、中国からの移民によってもたらされたが、本場に比べて薄口で定着。多くの定番タイ料理に用いられている。
ヘルシーボーイ印(仁和園社)は1947年に自家製白醤油を発売した移民のトン・セータン氏が創設。緑色のキャップがトレードマークの金山印は中国系タイ人チャイ・セーコウによって1954年に発売された。
バヤリース オレンジジュース<製造開始年:昭和23年(1948年)>

非炭酸のオレンジジュース。タイでの呼び名は「バイレー」。タイのバヤリース社は米バヤリース・カリフォルニアオレンジ社初の海外現地法人(1948年創業)。
当時タイでは瓶入り飲料が目新しく、オレンジ/ブドウ/パイナップル味のバヤリースはヒット商品となった(コカコーラ発売開始は1949年)。
タイのバヤリースを語る際に欠かせないのが、タイのモボ・モガ時代である60年代の不良少年たちが憧れたギャング「デーン・バイレー(バヤリースの工場周辺で生まれたためについた通称)」の存在。のちにデーンの破天荒な半生は映画化され、大ヒット作となった(『2499アンタパーン・クローン・ムアンDang Bireley's and Young Gangsters』1997年公開)。しかし公開当時すでにバヤリースは競合他社に勝つことができず、ポッカに買収されたあと、2003年には再びタイ資本の企業に権利が移り、その後2014年5月15日にタイのイチタングループが権利を買った。
2015年に同グループから新商品として登場することになっているため、現在は販売されていない。
蛇印の冷感パウダー<製造開始年:昭和27年(1952年)>

矢が刺さった蛇のイラストがトレードマーク。商標の毒蛇は疾病、矢は薬の象徴で、治療を意味している。
1892年にザ・ブリティッシュ・ディスペンサリー社を創設したトーマス・ハワード・ヘイズ医師は最新式の薬局を開店。1928年、海南系華僑のルアン・ウォンワーニット医師が同社を買収し、医薬品のほか輸入ブランド品やオリジナル商品も扱うドラッグストアをオープンした。
1952年、タイの風土に合わせて開発した冷感パウダーを発売。汗疹の痒みを抑え冷感を与えるパウダーは、タイ人によるタイ人のための冷感パウダー第1号として人気を得た。
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