先週土曜日に無事に前期の期末試験が終了した。この数ヵ月間の大学院生活からはアカデミックな勉強はもちろんのこと、先生の授業の運営方法からも様々学ぶことが多かった。

みんなが苦手な科目
だからこその取り組み

 早稲田のファイナンス研究科で受けた「ファイナンスのための数学基礎」の授業でのこと。初級のファイナンスや経済学を学ぶには数学を避けて通ることもできるし、四則計算で対応できる部分が多い。私もファイナンスの本を何冊か書いているが、必ず冒頭で書くことは「本書の理解には四則計算以上の数学の知識は必要ありません」というフレーズである。それぐらい数学アレルギーの人は多い。

 しかし、中級のファイナンスや経済を勉強するには、数学の知識は避けては通れない。微分、積分、ベクトル、行列など、高校数学で学んだことの延長や応用であるが、そもそも経済学部を含む文系学部に入学した人たちの多くは数学が嫌いだから文系にしたという人も少なくない。いくら高校の数学の延長と言われても、それが嫌だった、苦手だったのだから、その延長を学ぶのは非常に苦痛である。

授業内容を事前に
レジュメに全部記載

 そんな事情をよくご存知の先生は、少しでも学生の理解が進むようにと授業でいくつかの工夫をされていた。まずは、レジュメの作り方にある。レジュメには当日黒板で書くことのほとんどが事前に書かれてある。このレジュメさえあれば授業の内容は粗方理解できることとなり、授業の価値を下げるのではないかと思ったりしたが、初回の授業でその点に関して先生から説明があった。

 いわく、「授業中は黒板を向いて先生の話をしっかりと聴いて理解することに努めて欲しい」、「板書させると板書に夢中になって話の理解がおぼつかない生徒が多い」、ということである。また、事前に数週間先の授業内容までのレジュメを配布することで、シラバス以上の指針を生徒に与えていた。いろいろ試してみた結果、この方法が最も学生の理解度が高い方法だそうである。