社員から内容証明郵便を送りつけられ、抗議などを受けようものなら、経営者は大いに怒るだろう。

 ましてや、オーナー経営者ならば、その怒りは一層エスカレートするに違いない。

 今回は、部下が内容証明を送りつけたことで叱責され、その社員を辞めさせるように言われながらも、それがなかなかできずに窮地に陥った管理職を紹介する。

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■今回の主人公
北野 美智雄 仮名(41歳 男性)
勤務先:首都圏に15店舗ほどチェーン展開する中華料理店を運営する会社に勤務。従業員数は正社員110人。パート、アルバイトなどが約600人。テレビや雑誌などでおなじみの経営者が、家族と共に「ファミリー経営」を行なっている。北野は、中途採用試験を経て入社し、総務、経理に所属。現在は経理部長(課長兼務)の要職にある。
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(※この記事は、取材した情報をプライバシー保護の観点から、一部デフォルメしています)

「あの女から辞表をとれ!」
寝耳に水の怒号に戸惑う管理職

  「なんで、あんな小娘から辞表をとれないんだ!」

  「……」

 4階の社長室に、オーナーの海老隆男(66歳)の声が響く。経理部長の北野がうなだれる。

 海老のひとり娘で常務の美佳(38歳)が深くうなずいたあと、かすれた声でこう責める。

 「今度、経理を外れてもらうことになる……。たぶん、お店に出てもらうことに……。こちらも、菅たまき(29歳)にはもっと本腰を入れないといけない……。でも、あなたじゃねぇ……」