

イノベーションワークショップは、ITを活用したイノベーションを創出するための啓発的講義、事例研究、および、前述のC-NES分析手法を使った実際のアイデア創出ワークショップを組み合せた参加型の実践的プログラムである。
後半のアイデア創出ワークショップでは、メンバーがアイデアを出し合い、発散と収束を繰り返すことで自社のコンピタンスとの整合性が考慮されたイノベーションのアイデアが多数抽出されることとなる(図3)。
社内にイノベーションを管轄する部署もなければ、その専門家もいないというのが通常である。一方で、経営者や研究者など一部のカリスマリーダーがイノベーションの牽引役となるだけでなく、すべての従業員がイノベーターの候補者とならなければならない時代なのである。
しかし、多くの参画者を巻き込みつつイノベーションを企業風土の領域まで定着させるには、プロセスの確立が不可欠であり、そのプロセス全体をファシリテートする役割を担う人材が必要となる。イノベーションの創出を期待する経営者は、何回かの試験的なイノベーションワークショップを実施することで変革のファシリテーターとなる人材を育成しつつ、幅広く従業員にイノベーション創出の意識を醸成することが求められる。