中国から巨人がやってきた。

 検索サイトの「百度」は、中国で1位(シェア7割)、世界でも3位という、まさに巨人である。

日本語版「百度」のトップ画面
Google、Yahooに次ぐ検索サイトへ成長できるか?先ごろスタートした日本語版「百度」のトップ画面

 最近、検索サイトに関するビジネスが熱を帯びている。ちょうどこの記事を執筆しているタイミングで、マイクロソフトがYahoo!を買収する意向を打ち出してニュースになっているところだ。検索サイトはインターネットを代表する媒体となり、広告を主な収益源とする、収益装置として盤石の地位を築いた。とはいえ、さすがの成長ぶりにも、やや頭打ち傾向が見えてきた。成長のパワーにかげりが見えた先駆者達が、いよいよ他を食い始めようとしている。Yahoo!、Google、マイクロソフトの戦いが始まったようだ。

 百度の日本語版サービスは、「セカンドサーチサービスとして利用して欲しい」(百度株式会社 取締役舛田淳氏)という方針を打ち出している。

 Yahoo!、Googleの2強に、すぐさま打ち勝とうというのではなく、まずは、百度に興味を持ち、機能に満足したユーザーが2つめのサービスとして使って欲しいと考えているのだ。2010年までは、収益を重視するつもりはなく、広告ビジネスは基本的に2010年スタートを予定しているというのだ。

 この点が、過去の検索サービスと最も異なることであろう。IT系のビジネスのほとんどが短期スパンで収益構造を作り上げ、一気に投資を集中して覇権を握ろうとしてきた。

 ところが百度は、じっくりと時間をかけ、完成度を高める戦略を取る。なぜだろう? そもそも、検索サイトはゼロサムゲームである。ほとんどのユーザーが、ほとんどの場面でGoogleなりYahoo!で検索し、求める結果を得られている。必要な情報が見つからなかった時点で、「あきらめる」「キーワードを工夫して再度検索」「他のサーチエンジンを使う」という選択肢に進むのだ。セカンドサーチサービスの必要性を感じ、利用するユーザーがどれだけいるのだろうか? とても恐ろしいことに、検索サービスにキャンペーンやディスカウントは成立しない。ユーザーの利用は無料だから、値段を下げる余地はない。どれほど秀逸なサービスでも、コストダウンで体験してもらうことはできないのだ。

 だから、これほど長期のスパンで、かつ2番手でよいですと、穏やかにビジネスを進めていくのだろうか?