「自分の名前は外してほしい」と迫った
部会長代理・岩田正美氏

開会前、緊張の面持ちで厚労省事務局側を見る岩田正美氏(部会長代理)
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 岩田正美氏(日本女子大学教授・社会福祉学)は、報告書に見られる「生活保護世帯を除く」が、統計マジックによる誘導のための操作である可能性を鋭く指摘した。

 報告書の25ページ~29ページにある「別紙1 最低水準を満たす民営借家等の家賃額と住宅扶助特別基準の比較について」は、民営借家・UR賃貸に関して、生活保護世帯の居住している住宅を除いて

「その地域に存在する住宅のうち、最低居住面積水準を満たす住宅のうち◯%をカバーできる金額は◯円」

 を表にまとめたものだ。たとえば北海道では、単身者向け住宅のうちやっと5%をカバーできる家が3万円。北海道の住宅扶助特別基準の上限額は2万9000円なので、まったく足りていないことが読み取れる。25%をカバーできる家賃は、3万5000円となる。同じく東京都では、25%をカバーできるのが6万3000円となり、現在の住宅扶助特別基準の上限額5万3700円では足りていないことが読み取れる。

 岩田氏は、この「生活保護世帯を除く」に対して、

「(生活保護世帯の)高齢者比率、時点の違いを含めることに加担したくありません。これは操作です」

「今、8月に訪問した世帯(基準部会が全国の福祉事務所を通じて行った生活保護利用者の居住実態調査の対象世帯)、計算してみました。単身の高齢世帯、少ないです。高齢世帯は、就労支援が必要なわけではないですから、(ケースワーカーによる)訪問の頻度が少ないんです。だからバイアスがかかっていて、若干少なくなっています」

「納得できません。これ(居住実態調査結果)が、生活保護世帯の10分の1で全体を反映しているとは思えません。そのことが意味を持つと困ります。どんな留意事項をつけても、『基準部会の』の意味は大きいです」

 と述べ、

「これを入れるならば、私の名前を削除してください。何のために専門委員として参加しているか分かりません。もしくは『岩田は反対』と書いてください」

 と強い調子で主張した。

岩田氏が「自分の名前を削除してほしい」と強く主張する根拠となった資料
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「冬季加算の意味? 知ったことか」
そう言わんばかりの厚労省事務局

 18時40分ごろ、冬季加算の議論が開始された。

 前回、部会委員から指摘のあったデータの不備や留意点(たとえば「2月の電気料金は3月に請求されて払うのは4月」など)を一応は反映したものが報告書に含められているものの、

「これで確実に生活保護世帯の冬の需要がカバーできるかどうか」

 に関する検証は、少なくとも結論が出るほどには行われていない。それでも、報告書は取りまとめられようとしている。