7つのテーマで見極めよ
2015年、課題山積の国際関係

 2015年は国際関係、なかんずく日本を巡る情勢が一層複雑となっていく。特にここで述べる7つの課題については、推移を慎重に見極めていくことが重要である。

(1)テロによる「言論の自由」抑圧の深刻
成熟した社会として考えるべきこと

 1月7日に発生したパリのテロ事件は、本年の国際関係の不吉な前兆ともいうべき事件であった。

 風刺漫画で名高い「シャルリー・エブト」本社がイスラム過激主義者の襲撃を受け、編集者や漫画家など12名の人々が命を落とした。この事件に対しフランス全土で370万人、パリだけでも160万人と言われるデモ行進が行われ、オランド大統領をはじめとする欧州諸国首脳は、その先頭に立った。

 本来、テロはいかなる理由があっても糾弾されるべきであるが、仏での大規模なデモ行進の背景には、この事件が民主主義の根幹たる言論の自由に対する挑戦と受け止められていることがある。

 言論の自由との関連では、金正恩第一書記を侮辱したとして、北朝鮮がソニー・エンタテインメントへのサイバーテロ攻撃を行った事件や、産経新聞ソウル支局長が韓国大統領の名誉を棄損したとして出国が止められている事件などについても、種々の議論がある。

 本来「言論の自由」は、権力による言論の封殺から個人を守る権利であろうと思う。したがって、国家権力や暴力によって言論が封殺されてしまうようなことは、いかなる場合でもあってはならない。一方、「言論の自由」の名の下、国家元首や宗教指導者の名誉を著しく損なうような言動を、どう捉えるべきなのだろう。

「言論の自由」は何を言ってもよいということではなく、言論の節度を守るという義務も付随している。民主主義国家では、言論が特定人の名誉を棄損する場合や国家機密を漏らすような言動は、法的な手続きによって処罰がされる。

 ただ、社会の道義として節度を求めることも、成熟した社会では重要だろう。最近の日本でのヘイトスピーチや、中国や韓国を著しく貶める言動に対しては、まず社会が良識を示し、批判をしていくべきものだろう。

(2)戦後70周年の日本の外交課題
安倍政権の対応いかんで明暗分かれる

 2015年は戦後70周年および日韓基本条約締結50周年であり、安倍政権の取り組みいかんでは、近隣諸国との関係だけではなく日米関係が冷え込む可能性がある。