日本に続きスイス、ECBまで
世界の金利「水没マップ」

 図表1(2015年1月23日付)は、「世界の金利の『水没』マップ」と題した一覧表である。これは基本的に、国別・年限別の国債利回り、すなわち、イールドカーブ状況を示す。ここでは、マイナスになった(水没した)ゾーンを濃く示しており、さらに0%以上0.5%未満、0.5%以上1%未満、1%以上と徐々に色を薄くして示している。

 こうした色の濃淡で示した図表は、リスク管理などで「ヒートマップ」として示されることが多いが、これはむしろ「フローズンマップ」であり、金利機能が喪失して「麻酔」がかかったような状態だ。

 具体的には、スイスでは1月に中銀が極端なマイナス金利策をとったことで、14年ゾーンまで水没している。日本はおおむね5年前後までが、浮いたり沈んだりしている状況にある。欧州はドイツを中心に5年ゾーンまで水没していたが、1月22日にECBが国債購入を中心とした量的緩和策を決定したことで、水没する範囲がより広がった状況にある。

 欧州の水没はECBによる量的緩和の決定を先駆けて織り込んで生じていたが、実際にECBの国債購入が始まり需給が締まることで、今後も水没地域が拡大する可能性が高い。こうした状況は、昨年10月31日の日銀の追加緩和以降に生じた現象でもある。

官制相場で市場機能は喪失
「麻酔」がかけられた債券市場の死

 次ページの図表2は、日本のイールドカーブの推移を示している。5年までのゾーンは、ほとんど0に近い水準まで金利は低下した状態にある。今日、日銀の当座預金の付利金利が0.1%であることを考えれば、キャリーの観点から見て、7年までのゾーンで債券運用を行う必要はなくなるとも考えられる。