年明け間もない14日、生命保険業界に衝撃が走った。節税を狙った法人向けの保険商品を悪用したとして、名古屋の金属加工メーカーが名古屋地検特捜部に告発されたからだ。

 その保険商品とは、「逆養老保険(逆ハーフタックス)」と呼ばれるもの。通常、会社が役員や従業員の福利厚生を目的として加入する養老保険は、死亡保険金の受取人を役員や従業員の遺族、満期保険金の受取人を会社にする。すると、会社が支払った保険料の半分が経費となり、損金計上できる。

 逆ハーフタックスとは、まさに通常とは逆の掛け方をした保険で、死亡保険金の受取人を会社にし、満期保険金の受取人を役員や従業員にするというものだ。メリットは、保険料の全額を経費として損金計上できることにある。

 ただし、あくまでこの手法は、税務上の規定がないということに依拠しているだけで、グレーゾーンとされている。

 もっとも、今回の名古屋地検の告発は、このスキームにメスが入ったわけではない。契約者名義を社長に変更した後、解約返戻金を受け取るために保険を解約したにもかかわらず、所得として計上しなかったため脱税とされた格好だ。

プルデンシャルが注力

 ならば、逆ハーフタックスは安泰かというと、そうではない。

 というのも、税務上の規定がないことから実務上は、「保険税務に精通した税理士などが関与しなければ、後に否認されることもある」(保険関係者)からだ。