7位の「榊原記念病院」で、心臓血管外科主任部長を兼務する高梨秀一郎副院長は「心臓病だけの患者なら、全て受ける」と言い切る。 

榊原記念病院の高梨副院長は「心臓外科と循環器内科が互いに刺激すべき」と言う

 高梨副院長は冠動脈狭窄症・硬化症バイパス手術のスペシャリストだ。これまで約6000件の手術を経験。新東京病院の元同僚である中村院長も「あいつなら安心して任せられる」と厚い信頼を寄せる。マレーシアや台湾でライブ手術を行うなど、その腕は海外でも折り紙付き。心臓弁の形成手術なども得意だ。

 56歳の今も年間400件以上の手術で腕を磨いており、繊細な指はTAVIも自在にこなす。カテーテルの技は新東京病院で当時循環器内科部長だった中村院長から盗んだ。高梨副院長は「一流の外科医になるには、一流の循環器内科医の存在が不可欠」と強調する。

 同院は心臓病患者を24時間受け入れており、心臓手術患者が年間約1400人に上る。手術室4部屋に加え、心臓血管外科医が21人。うち7人が執刀し、3人は先天性の小児心疾患の手術も可能だ。このため心臓手術患者の3分の1は0歳児を含む子どもだ。24時間体制の救急病院は多いが、診療科として受けられるところは少ないのが実態という。

 高梨副院長は「CCU(心臓血管疾患集中治療室)の救急窓口当番に「『外科医の都合を聞くな』と指導している」と言う。常に急患を手術できる態勢を整えておくことは当然だからだ。昨春には周産期医療を新設。母胎診断で心室・心房中隔欠損などが見つかった赤ちゃんを、出産直後に分娩室から手術室へ移動できるよう整備した。

 患者のニーズがカテーテル手術に集中する中、得意の大動脈弁の置換手術(AVR)もTAVIに取って代わられる勢いだ。カテ専門の循環器内科医は「AVRの主流はTAVIに変わるだろう」と断言する。

 だが、カテーテルで歯が立たない病も依然多い。心臓血管外科と循環器内科の技が交錯する部分をどちらが担うか。その比重を左右するのは命の重さと互いの医師の信頼関係だ。「だからこそ心臓血管外科医は循環器内科医の要求に百パーセント応えられるよう、常に腕を磨いている」と高梨副院長は強調する。