民主党政権の政策を批判し出したらきりがありません。経済学を理解していない、バラマキ、政府の肥大化など、いくらでも批判できます。

 ただ、自民党政権時代の政策にもそうした批判はある程度当てはまりましたし、政治のリアリティを考えるとやむを得ない面もあります。しかし、最近の民主党の幾つかの政策を見ていると、より厳しく批判すべき点が共通しているように思えます。

 それは、労働組合への過剰な配慮です。

公務員制度改革のまやかし

 前回批判しました公務員制度改革法案については、先週閣議決定が延期になり、その後の修正案を見る限りは、次官・局長クラスから部長クラスへの転任も制度上は容易となりました(公務員の身分保障との関係で人事院とどのように調整したのか不明ですので、本当に機能するかまだ信用できませんが)。

 しかし、修正された法案でも、部長クラスから課長クラスへの降格は規定されていません。降格はごく一握りの幹部クラスの間のみに限定されているのです。加えて言えば、人事院の権限は内閣人事局に移管されませんし、給与法は改正されませんので公務員全体の給与も下がりません。公務員制度“改革”と言う割には明らかに不十分なのです。

 そうなってしまった原因は、間違いなく公務員労組とキャリア官僚への配慮でしょう。組合は、降格規定が下のクラスにまで波及することを嫌っていますし、人事院が今のままでスト権も付与されない状態を望ましく思っています。かつ、幹部人事に真剣に手を突っ込み出したら、キャリア官僚を完全に敵に回してしまうので、それを避けたのでしょう。