2月末にも資金が枯渇するとされるギリシャだが、金融支援の延長をめぐり、ECB(欧州中央銀行)、ユーロ圏諸国とぎりぎりの駆け引きを続けてきた。延長を重ねた交渉は、2月20日(日本時間2月21日未明)に、ようやく4ヵ月の支援延長で合意に至った。だが、依然として危機は去っていない。

 2月20日開催のユーロ圏財務相会合での合意の結果、ギリシャのユーロ圏離脱の可能性は低下したのか。

 筆者は、十分に低下したとは考えていない。なぜなら、ECB(欧州中央銀行)がギリシャの市中銀行への融資を打ち切るリスクが、依然として残るためである。3月危機の発生は後退したが、7月に危機が再燃する可能性はある。

第2次金融支援の枠組み終了なら
ギリシャはデフォルト、ユーロ離脱のリスク

支援合意でも終わらないギリシャ危機、<br />7月には再燃必至厳しい舵取りを迫られるギリシャのツィプラス首相 Photo:AP/AFLO

 ギリシャ政府は2010年5月以降、第1次金融支援の下で、IMF(国際通貨基金)、ユーロ圏諸国から資金を借りたが、自力で資金調達できる目途が立たなかった。そのため、2012年以降も、第2次金融支援の枠組みの下、IMF、ユーロ圏の金融支援基金であるEFSF(欧州金融安定基金)から支援を受けてきた。

 しかし、第2次金融支援の枠組みは2015年2月28日に期限を迎える予定である。ギリシャ政府は自力で国債を発行、市場で資金を調達する信用力を有していないだけに、3月以降も支援を受けることを可能にするため、ユーロ圏諸国から第2次金融支援の枠組みを延長するよう求められていた。

 第2次金融支援の枠組みが終了すれば、必然的にギリシャに3つの危機をもたらすことになる。

 1つはギリシャ政府の債務不履行危機である。ギリシャ政府は3月1日以降、どこからも金融支援を受けられず、3月下旬以降の国債の利払い、7月にはギリシャ国債の償還に窮するリスクがある。

 2つめはギリシャの銀行破綻危機である。2月28日に第2次金融支援の枠組みが終了すれば、ECBは、ギリシャ政府が3月には債務不履行の危機に瀕し、ギリシャ国債という信用力の低い資産を多く保有するギリシャの銀行は存続困難と判断して、3月にギリシャの市中銀行への融資を打ち切る可能性がある。ギリシャの市中銀行は現在、多額の預金流出に見舞われているため、ECBからも資金を借りられないとなれば、流動性破綻に陥る懸念がある。

 3つめは、ギリシャのユーロ圏からの離脱危機である。ギリシャの銀行が流動性破綻となれば、深刻な取り付け騒ぎが発生、ギリシャ政府は決済手段として、ユーロに代わる新たな通貨の創設を余儀なくされるリスクがある。すなわち、ギリシャがユーロ圏からの離脱に追い込まれるリスクがある。