「シングルマザーたち100人がしんどい状況について話しました」報告書表紙。盛り込まれなかった内容も含め、後日の書籍化が予定されている
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 CPAOは、「みつける(アウトリーチ=困難な状況にある人々に積極的に支援の手を差し伸べること)」「つなぐ(相談事業)」「ほぐす(直接支援)」の3つを、活動の柱としている。2013年6月の企画から、調査・取りまとめ・報告を含めて2年弱にわたった今回の調査で、「人生ストーリー」面からもデータ面からも、シングルマザーたちがどのような背景を持ち、現状はどのようで、何に困っているのかが明らかになった。

 では、調査によって明らかになった事実に基づいて、シングルマザーたちに対して、どのような支援が可能だろうか?

「……私たち、何もできません。お母さんたちに対しては、お茶に誘って話を聞いたり、買い物に付き合ったり、『ちょっと出かけない?』と声をかけて一緒に出かけるくらいしかできません。でも、子どもたちは、違うかもしれません。この調査を通して、大切なのは、とにかく『幸せな子ども時代』だと気づきました」(徳丸氏)

暴力の中で生育・出産・育児
風俗でも働き、力尽きて生活保護へ

報告書に掲載されたシングルマザーたちのライフヒストリーのうち数例は、アニメーション化され、報告会場で上映された
Photo by Y.M.

 それでは、2月21日に公開された調査報告書には、シングルマザーたちのどのような生育歴と現状が描き出されているのだろうか?

 この報告書には、シングルマザーたち10名の語りと、本人による「人生バイオリズム」が掲載されている(今回の報告書に掲載されなかったデータも含め、後日、出版が予定されている)。この10名のうち、生育した家庭環境にそれほど大きな問題はなかったと思われるのは1名。9名が、肉体的暴力・精神的暴力・貧困・家庭不和などの問題を抱えた家庭に育っている。肉体的暴力は父親によっていることが多いが、母親による精神的暴力も多い。家庭不和の背景や貧困状態に陥ったきっかけとなった出来事は、両親いずれかの病気・父親の女遊び・ギャンブル依存など多岐にわたる。

 かほさん(仮名・25歳)は、心身ともに疾患を抱えていた父親と母親の間に生まれた。かほさんが産まれた時から、母親は病気で入院しており、5歳の時に亡くなった。その後は父子家庭で育つことになったが、「言うこと聞かなかったら物をぶつけるぞ」と暴力的な父親は、育児も放棄。「いつかお父さんに刺される」と思ったかほさんは、学校の教師や周囲の大人たちに助けを求めたが、周囲の大人は「そんなことはないだろう」と相手にせず、父親や親戚を頼るように言ったという。おじに預けられたかほさんは、おじから暴力を受けるようになった。一時、父親の元に戻ったものの、父親が問題を起こして住まいを失い、暴力をふるったおじの元に身を寄せた。中学生の時には、ときおりフラッシュバックに襲われ、「死ななくちゃ」と思いつめ、物品を壊したり自傷したりするようになっていたという。