ボランティアが直面する“高齢化”
「ついていけない」若い世代も

神戸市役所南側、東遊園地で行われた阪神淡路大震災慰霊祭の案内
Photo:Kenichirou Akiyama

 毎年1月17日の震災の日、神戸市の繁華街、三ノ宮の中心地にある市役所の南側、地元民の言葉で「海側」と呼ばれるそこに位置する東遊園地では、震災で犠牲になった人たちを追悼する慰霊祭が行われる。20年の節目の年を迎えた今年は、約1万4000人の人が集まった。例年でも約5000人が集まる慰霊祭の運営を、行政の力だけで賄うには難しいものがある。

 震災の翌年からこの慰霊祭ボランティアに携わっているという元神戸市職員は、「ボランティアの高齢化で今後慰霊祭の運営は難しくなるかもしれない」と厳しい内情を明かす。震災発生直後、ボランティアの牽引役は40代の壮年だった。その彼らももう還暦を過ぎた。第一線で活動を引っ張っていくには無理のある年齢だ。

 神戸市市民参画局や震災関連の活動を行っているNPO団体関係者らの話では、震災20年を契機にその活動に終止符を打つNPOやボランティアグループが相次いでいるという。牽引役の高齢化に加え、若い世代への代替わりがうまくいかなかったことがその理由とされる。

同慰霊祭の前日の様子
Photo:Kenichirou Akiyama

 なぜ代替わりがうまくいかなかったのか。ひとことで言えば、それは活動目的の認識の差といえよう。

 阪神・淡路を原体験としてNPOやボランティア活動を行っている60歳以上の高齢者世代と違い、40代以下の世代にとって、20年前の阪神・淡路という震災は、もはや「歴史のなかのひとコマ」といった認識でしかない。ぎりぎり震災を知る30代ですら、「大勢の人とわいわいがやがやと、普段とは違う生活をしばらくした」(神戸市内のNPOメンバー)と、震災体験が遠い昔の過去の思い出と化している節がある。

 こうした若い世代にとって、その活動の主軸を「阪神・淡路」にのみ絞り込んでいる60代以上の高齢者層の認識には「ついていけないものがある」(元NPOメンバー)というのも無理はない。

 対して、その活動目的を阪神・淡路から、若い世代にとって臨場感のある東日本への支援や、防災意識の啓蒙、地域発展と発展的に拡大させたNPOやボランティアグループは、代替わりもスムーズに進み活動を活発化している傾向にある。

 俳優の堀内正美さんを設立者とする認定NPO法人「阪神淡路大震災『1.17希望の灯り』」では、2014年、30歳の藤本真一さんを理事長とし、20代から40代の理事も就任するなど、一気に組織の若返りを図った。これにより、その活動の主軸も阪神・淡路のみならず東日本への支援ほか、防災意識啓蒙へとその活動の拡大化を図っていくという。