先月、石川県を訪問したとき、強烈に感じたのが創業百年以上の長寿企業の多さだ。確かに規模はそんなに大きくはないが、企業の歴史がとにかく長い。その長寿の秘訣を探り、その長所を学ぶべきだと認識したのは、おそらく私だけではない。

 ここ2、3年、中国で一番話題を集めている企業は、小米科技(シャオミ)だ。創業からわずか5年で売上高1兆円を達成し、中国市場でサムスン電子を抜いてシェア1位となった中国のスマホ・メーカーである。

小米スマホ躍進の陰で泣く、<br />中国部品メーカーの断末魔低価格・高品質を武器にシェアを伸ばす小米のスマホ
(小米HPより)

 インターネット時代の企業らしく、シャオミはオンライン・オペレーション能力を駆使して多くの分野に業務範囲を広げ、次から次へと神話を作っている。たとえば、2014年9月、インドで、ネット販売を通してわずか4.2秒でスマホ4万台を完売した。続く10月には、4秒で今度は10万台を売り切った。

 日本の携帯電話メーカーが国境の壁を越えられないことに苦悩しているだけに、このシャオミの人気は日本でも大きく注目を浴びている。

シャオミ創業者の雷軍氏は
日本企業の姿勢を高く評価

 いうまでもなくシャオミを率いる創業者・雷軍氏も話題の人物となっている。アップルのスティーブ・ジョブズに心酔しているので、スタイルも行動もそのまねをしているという議論があり、シャオミの成功を見て、彼を中国のスティーブ・ジョブズと呼ぶ人まで出ている。

 しかし実際のところ、雷氏はかなり日本企業に心酔している。インターネット時代の企業がもつべき特徴を雷氏は、「専注、極致、口碑、快」と定義している。つまり、ある分野や製品に集中する(専注)、到達することのできる最高の境地を求める(極致)、評判のよさ(口碑)、スピード(快)という意味だ。

 実は、この「専注、極致、口碑」は雷氏の日本企業に対する、特に日本の長寿企業に対する評価だ。「餅は餅屋」ということわざがあるように、日本社会はある製品や専門分野に専心し、その製品の品質も極致に達するほどの高いレベルにある企業に多大の敬意を払っている。ここは中国企業がもっとも学ぶべきところだと雷氏はいたるところで強調している。