九州大学は、このがん診断テストを「n-nose」と呼び、同じプレスリリース中で、〈腫瘍マーカーが1検体数千円以上掛かることを考えると、数百円で行えるn-noseは、コスト面でも優れています〉と、費用面にも言及している。

 現在はまだ、〈全てのがんを検出できる反面、がん種を特定できない〉ようだが、この点に関しては、診断テストを工夫することで解決策を見出している。それはこういう方法だ。

・特定のがんにだけは反応しない線虫株を作製する(ことに成功している)。

・このような線虫株を用いれば、例えば、野生型線虫は誘引行動を示すが(がんがあることが分かる)、大腸がんにだけは反応しない線虫株は誘引行動を示さないという場合、大腸がんであると診断できる。

 つまり、様々な「特定のがんにだけは反応しない線虫株」を作製しておき、これらを組み合わせれば、消去算的にがん種を特定できるということだ。よって、「特定のがんにだけは反応しない線虫株」のがん種の網羅性が十分でないとしても、作製したどの「特定のがんにだけは反応しない線虫株」の全てが反応したならば、それらの「特定のがん以外の」がんであると推定することができる。

 本件について〈2019年の実用化を目指している〉と報じているメディアもあり、特段のリスクのない安価な検査方法だけに、期待大ではないだろうか。いずれにしても、早期発見にせよ治療にせよ、そろそろ、がんを薬で何とかしようとする時代ではなくなってきたのかもしれない。

(吉田克己)