中南米 2015年4月1日

外国人はまだ投資不可。「ボリビア」で投資チャンスを探る【前編】

マルクスを畏敬する大統領

 現在のボリビアの株式市場は、残念ながらいまだ外国人には門戸を開いておらず、ボリビア市場で株を購入できるのはボリビア人か、もしくはボリビアの居住権を持つ者のみに限定されています。

 先に触れたように、ボリビアといえばエボ・モラレスという反米の立場を貫く大統領が有名で、天然ガスや空港運営などの企業を国有化したり、外国企業締め出しなどの流れがあります。株式市場も外国人の参入を許さずにいるというのが現状ですが、この先政権が変わることがあれば諸外国に対して市場を開く時が来るのではと想像しています。

 中南米の多くの国は軍事政権、独裁により経済的には停滞を続けていましたが、1990年から2000年代に入り、外国資本を受け入れていき経済を成長させてきました。ところが、このボリビアでは経済の自由化の動きはまだまだ遅れており、この国を率いる大統領はいまだにマルクスを畏敬すべきものとしています。

 そのためボリビアでは、勇気ある創業者などは所有する企業とともに近隣のチリやペルーに逃げて行くなどして、資本家や投資家が国から流出し、その結果として国の税収が減ってしまい貧しい国のままなのです。マルクスの影の元で平等な社会主義を実現して公平な富の再分配ができているのであればそれでも国民は幸せのはずなのですが、私が知る限り、多くのボリビア人の現状の幸福度が高いとはいえません。

 最初に考える必要があるのは、公平な富の再分配をするためには「誰かの元」にその富を集めなければならず、「その誰か」が完璧な道徳観とシステムで再分配をする保証はないということです。世界中の歴史を見ても、権力者が社会主義の元で行なおうとした政策はすべて失敗に終わり、後には大量の貧困や虐殺が残ってきたという事実に目を背けるわけにはいきません。

 ボリビアの政治や経済がこの先どうなるかは、政治の行方と、どこかのタイミングで市場を開放し、どの国の企業や資本家も自由に誘致するような政策がとられるかどうかにかかっていると私は考えています。

ボリビアの証券取引所を訪問する

 さて、このようにボリビアには高いリスクがありますが、政治、経済ともにまだまだ成長前の段階であり、中南米の国の中でも物価が非常に安いですし、それは株価でも同じです。市場が開けばボリビアの安い株を他の外国人投資家に先駆けて買うこともできるかなということもあり、今のうちにボリビアの金融市場の関係者などにも会っておきたいなと考え、今回訪れてみることにしました。

 この日はまず、ボリビアの証券取引所であるBVB (Bolsa de Boliviana de Valores)を訪ねました。首都のラパスに1979年に設立された取引所です。現在は銀行、石油会社、保険、電力、輸送会社など38銘柄が上場してい ますが、取引所で取引されている9割以上が国債やCB(Certificate of Deposit)、社債などの債券です。

ボリビアの証券取引所 Bolsa de Boliviana de Valores 【撮影/風間真治】

 取引所の中に入ってみました。証券取引所のオフィスは月曜から金曜日の午前8時半から午後5時まで開いていますが、実際に取引をしているのは午前10時から11時の1時間のみだそうで、私が訪問した時間帯は取引をしておらず、中には誰もいませんでした。

証券取引所の室内【撮影/風間真治】
室内のモニター【撮影/風間真治】

 証券取引所を訪問した後、どうにかしてボリビアの株や債券を購入する手段はないかを探るべく、Bisa Bolsaという証券会社を訪問しました。

(つづきは【後編】にて)

(文・撮影/風間真治)

著者紹介:風間真治(かざま・しんじ)
商社の海外営業、中南米のドミニカ共和国駐在を経て独立。現在はカリブ海に浮かぶドミニカ共和国という国に住みながら、主に中南米諸国でこれから経済が成長していくような国々を回り、未知なる客先を訪ね歩いてはアジアの商品を売り歩く日々。一方ではそうして世界の様々な国を回りながらも、訪れた地で証券会社や銀行の口座を開いて投資商品を見ている。いわば物と金融の2つのトレーディングをしながら趣味でもある旅を続けるトレーディングトラベラー。

 


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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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