ファーストリテイリングが海外展開を本格化させている。2015年度第1四半期、売上構成比で国内事業が初めて50%を下回った。グローバル企業飛躍への課題を追った。(「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之)

 色鮮やかにライトアップされたステージ。シンプルな衣装に身を包み、次々とポーズを決めるモデルたち。背後の巨大スクリーンに「UNIQLO」の文字が浮かび上がる。

 昨年10月18日、中国・湖北省武漢市にある中国有数の名門校、華中科技大学の体育館。まるでファッションショーのような光景だが、実はこれはファーストリテイリングの採用イベントなのだ。

 地元の学生たちがモデルを務めたショーの後には会社説明会も行われ、ファーストリテイリング中国法人の藩寧CEO(最高経営責任者)が、詰め掛けた約2000人の学生たちに「ユニクロは完全な実力主義の会社。全社員平等に、夢をかなえる機会がある」と語り掛けた。

 ファーストリテイリングは2014年度の中国の採用シーズン(13年9月~14年6月)に、約500人の社員を現地で採用した。驚くべきはその応募者数である。なんと現地の学生約10万人から申し込みがあったという。

 今シーズンは中国での採用数をさらに増やす予定で、柳井正会長兼社長も「応募者数を20万人まで増やす」と意気込む。その先駆けとなったのが、同社で過去最大規模となった武漢での採用イベントというわけだ。

 中国での採用活動を強化するのは、もちろん理由がある。いまファーストリテイリングの躍進を支えているのは中華圏(中国・香港・台湾)であり、さらに出店を加速させようとしているからだ。