三井住友フィナンシャルグループと、大和証券グループ本社が、法人向け証券業務で結んでいた合弁を解消した。直接の引き金となったのは、5月に三井住友が決めた日興コーディアル証券の買収である。10年もの歳月を共に歩んできた両社の同床異夢はなぜ起きたのだろうか。

 今月初旬以降、大和証券グループ本社の幹部に、三菱UFJフィナンシャル・グループや、みずほフィナンシャルグループの担当者が猛攻勢をかけている。

「今後は、深いお付き合いをさせてください」

 しかし、そのなかに三井住友フィナンシャルグループの担当者の姿はなかった。なぜなら、大和が三井住友と合弁で設立、運営していた法人向け証券会社「大和証券SMBC」の合弁を解消することが決まったからだ。

 他の大手行からしてみれば、これまで三井住友に近い大和には手出しできなかっただけに、「絶好のビジネスチャンス」と映っているに違いない。

 大和に接触しているのは大手行ばかりではない。外資系証券会社も、新たな提携先を提案するために足繁く通っているというのだ。それも1社だけではなく、複数社がさまざまな提携話を持ち込んでいる模様だ。

証券業界再編図 「話を聞いても現実的なものはまったくなく、すべて断っている」(大和幹部)というが、ここにきて大和が突如、金融各社の垂涎の的として浮上しているのだ。

 合弁の解消により三井住友は、保有していた大和SMBC株を2000億円程度ですべて大和に売却するほか、派遣していた200人あまりの人員も全員引き揚げる。

 友好関係は今後も維持するとしているが、合弁から10年目にして大和は再び独立系証券会社の道を歩むことになった。

業界首位狙う三井住友と
2位に安住する大和に溝

 三井住友と大和は、1999年に合弁した当初から「ねじれの関係」にあった。

 当時、この提携は総会屋事件や子会社の不良債権問題などによって、資金繰りが悪化した大和を救済する色彩が強かった。にもかかわらず、自前による証券戦略につまずいていた当時の住友銀行(現三井住友)が「時間を買う」として判断を急いだ結果、大和SMBCに対する出資比率を40%に抑え、主導権を大和側に渡してしまった。