>>(上)より続く

A氏 それで、管理部門の役員である「俳優崩れ」とは、同じ執行役員ということもあり、深い関係にはなりたくなかったんでしょう。だから、2人で互いに話し合い、詰めることはしない。「パワハラマシーン」は怖いからね。そこでとりあえずIT部長の私に指示をして、「これをしろ」と促していたみたい。

 私も中途で入り、結果を早く出したいと思っていた。「立て直しのキーマン」と採用時に社長から言われていて、なんとかしたいと思った。社長や上司に、悪い印象はなかった。

筆者 俳優崩れはITに精通しているのでしょうか?

A氏 PCスキルは高校生よりも低いんじゃないかな。だから、会計システムのことを話し合っても会話にならない。意思決定ができないの。あんなのろのろとしていたら、今の時代はダメでしょう。止むを得ず、私が会計システムの基礎的な資料をまとめて見せると、また怒る。「ちゃんと俺は考えている。君なんかに言われたくない」と。ところが、意思決定を2ヵ月以上にわたってしない。しびれを切らして何かを言うと、キレる。この繰り返し……。

 一応は元俳優だから、話すの上手いですよ。演じるというか、立ち上がったりして、興奮して泣いたり……。パワハラされながら「すげぇー」と思いましたよ。よどみないから。私を潰し、追い出すのが目的だから。私と話をするつもりがないからね。彼には……。

 上司のアメリカ人は、いざというときに手の平を返し、傍観者のまま。後から食事などに誘い、「元気を出せ!」と言い始める(苦笑)。

世の中のリストラを見ると
5件に1件は「男の嫉妬」が原因

筆者 「男の嫉妬」って怖いですね。リストラの取材をすると、5件に1件は、「男の嫉妬」が絡んでいると感じます。

A氏 「男の嫉妬」か……。こちらが辞めるまでするからね。怖いよ。「俳優崩れ」が私のことをライバル視していたことは、間違いない。私のことが憎かったんでしょうね。生意気で反抗的だ、と。