キーワードは「希少性」と「高級感」

「希少性と高級感」は、日本のウイスキー各社が欧州で展開する販売戦略のキーワードでもある。「フロム・ザ・バレル」はニッカ商品の中で、フランスでもっとも売れる銘柄だ。参考小売価格は日本国内が1900円。それがフランスでは約4810円(37ユーロ:1ユーロ130円で計算)と2倍以上になる。もちろん輸入コストが上乗せされるため高価になることは必然だが、日本のウイスキーはそれを逆手に取り、ブランド価値を上げることに成功した。

ラ・メゾン・ド・ウイスキーでのイベント。壁一面を「フロム・ザ・バレル」が飾った

 ボトルデザインも商品イメージを向上させる大切な要素になっている。例えば「フロム・ザ・バレル」は、ボトルに他のウイスキーと異なりシンプルなデザインを採用している。そのスタイリッシュさは、同商品をウイスキー専門誌だけでなく、『マダム・フィガロ』などウイスキー以外のライフスタイルマガジンで取り上げさせる、きっかけとなった。サントリーも「響17年」で使っていた24面体のボトル形状や和紙ラベルが、フランスで結果的に日本のきめ細かい物作りをボトルからアピールした。

「味」「希少性」「高級感」「デザイン」に加えて、国際品評会での受賞も重なり、日本産ウイスキーのフランスにおける知名度は高まって行った。
 直近では、ウイスキーの国際的コンテスト「ワールド・ウイスキー・アワード2015」(WWA)で、「竹鶴17年ピュアモルト」が「ワールド・ベスト・ブレンデッドモルトウイスキー」を受賞している。2012年、2014年に続いて今回で3回目となる。また、「竹鶴21年ピュアモルト」も、WWAですでに4回の受賞歴誇っている。サントリーは2014年、「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)」で3年連続4度目の「ディスティラー・オブ・ザ・イヤー」に輝いた。同名誉チーフブレンダ―輿水精一さんは、ウイスキー専門誌『ウイスキーマガジン』が認定する「ホール・オブ・フェイム」に。日本人として初めてウイスキー殿堂入りした。

WWA授賞式の様子。右から2人目がニッカウヰスキー・チーフブレンダーの佐久間正さん