昨年からの景気減退で、岐路に立たされている出光興産。中核の石油、石油化学事業の需要が大きく減退したことに加え、期待をかける新規事業も失速しており、事業構造改革は「待ったなし」の状態だ。持続的な成長を続けるために、同社はどのようなビジネスモデルを考えているのか? その「核心」を中野和久社長に聞いた。(聞き手/『週刊ダイヤモンド』編集部 野口達也)

出光興産 中野和久社長 資源エネルギー庁が3月にまとめた石油製品需要見通しは、われわれ石油業界に大きな衝撃を与えた。今後5年間で需要は16.4%減少すると予想しており、1億6000万キロリットル台まで落ち込む。

 足元の需要減退を含めて、これほどのスピードで需要が落ち込んでいくというのは想定外だった。

 現在、日本国内の製油所の能力は480万BD(1日当たりバレル)程度で、すでに100万BD程度の余剰能力を抱えているといわれる。現在のペースで需要が減退していけば、5年後には国内28ヵ所の製油所のうち10ヵ所程度が不要になる。

 幸い、出光興産の製油所は競争力があることから淘汰される可能性がある10の製油所には含まれないと考えているが、安心はできない。

 中東やインド、中国には大規模で生産性が高い製油所が次々と建設されており、輸入品による競争激化も考えられる。