J1リーグ戦もあと3試合を残すのみとなったが、相変わらず大混戦が続いている。

 優勝争いでしのぎを削っているのは鹿島、浦和、名古屋、川崎、大分、FC東京。勝点は首位の鹿島が54、6位のFC東京は51と3差しかない。プロ野球的に言えば、6チームが「1ゲーム差」にひしめいている状態だ。最後の最後まで、どこが優勝するか判らない状況が続きそうである。

 J2降格回避争いの方も紙一重の戦いが続いている。J2には17位と18位のチームが自動的に降格、16位は今季のJ2で3位になったチームと入れ替え戦を行ない、勝てば残留、負ければ降格となる。18位はすでに札幌が確定しているが、17位と16位がどこになるかはまったく読めない状態だ。11月10日現在で17位の千葉は勝点35、11位の京都は勝点40。勝点5差の中に7チームがいて、J1生き残りを賭けた死闘を繰り広げている。

「天皇杯」で主力温存
大分と千葉に犬飼会長が激怒!

 こうした状況下で日本サッカー協会・犬飼基昭会長が激怒する出来事が起きた。11月5日に行なわれた天皇杯4回戦に大分と千葉が、直近のリーグ戦の出場メンバーから選手を大幅変更(大分は10人、千葉は7人)して臨み、敗退したのである。メンバーを変更したのは、主力選手を休ませ、リーグ戦に温存するため。これが犬飼会長には「天皇杯軽視」と映った。

 「日本で一番権威のある大会に、そのような態度で臨むなら、来年から出場しなくてもいいということ」と、“出場権のはく奪”まで示唆したのである。

 大分と千葉がなぜこのようなことをしたかは、双方が抱えるチーム事情による。

 大分は2003年にJ1に昇格したが、以後の5年間は下位に低迷した。だが、シャムスカ監督が就任して3年目の今年は守備を重視した組織サッカーが浸透し、優勝争いに加わるまでに成長。11月1日には国内3大タイトルのひとつ、Jリーグカップ戦「ヤマザキナビスコカップ」(以下、ナビスコカップ)を制し、念願の初タイトルを獲得した。そして、もうひとつの大きな目標であるリーグ戦制覇も手の届くところにある。トーナメントで一発勝負の天皇杯より、勝点を積み上げてきたこちらを重視したいという思いがあったのである。

 一方、千葉は逆に降格の危機に瀕している。1993年のJリーグ発足時から参加している名門だが現在17位。降格に最も近い位置にいる。天皇杯どころではないというのが正直なところだろう。

 このチーム事情に過密日程が絡んでくる。大分はリーグ戦・第30節を10月26日に戦った後、中6日(11月1日)でナビスコカップ決勝、中3日(5日)で天皇杯4回戦があり、さらに中3日(9日)でリーグ戦・第31節と試合が続く。シーズン終盤で疲労が蓄積した選手にはつらい日程だ。