余波は日本の元売り再編へ

 マイナス余波はそれだけにとどまらない。鍵を握るのは、急拡大する米国産シェールガスにおける「オイルリンク志向」の強まりだ。

 オイルリンクとは、原油価格と連動した価格形態で、日本のLNG輸入価格の多くはオイルリンクだ。足元では、急落していた原油価格が再び上昇に転じており、今後は連動してLNG輸入価格も上昇するとみられている。

 これに対して、米国のシェールガスの大半はオイルリンクではない。だが、米国のシェールガス輸出の第1号案件の主要取引企業であるBGが、オイルリンク志向の強いシェルの傘下に入ることで、米国のLNG取引において、オイルリンクを強める可能性があると懸念されているのだ。

 今後、日本が買い手となる米国のシェールガス輸出プロジェクトが動きだす。シェルによるオイルリンクの流れが米国市場で広がれば、日本の輸入価格上昇圧力になるかもしれないのだ。

「米国でのオイルリンク志向が強まれば、オイルリンク以外の契約を増やす戦略を取り輸入プロジェクトの多様化を狙っていた日本にとって逆風」(石井彰・エネルギー・環境問題研究所長)だ。

 一方で、シェルはBG買収と同時に18年までに300億ドルの資産売却を検討すると発表している。

 すでに、業界内では昭和シェル石油の約33%の持ち分の売却先に注目が集まっている。加えて、総合商社からは「良い売り物が出れば資源ビジネス拡大のチャンス」との声も漏れる。シェルのBG買収は決して海の向こうの話で片付けられるものではなさそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 片田江康男、重石岳史)