中興通訊(ZTE)や華為技術(ファーウェイ)など中国企業によるスマートフォンが世界でシェアを拡大させている。背後に政府の影がちらつく状況で、米国や欧州などと“経済摩擦”を起こしながらも強める攻勢は、日本にも本格的に及んできた。(「週刊ダイヤモンド」編集部 中村正毅)

中華スマホ、日米欧での急拡大と経済摩擦Photo by Masaki Nakamura

 独ベルリン市内で毎年催される、世界最大級の国際家電展示会「IFA」。その事前イベント「グローバルプレスカンファレンス2015」が4月23日から、地中海の島国マルタで開催された。

 55カ国から集まった300人以上の報道陣を前に、蘭フィリップスや中国ハイアールなど家電大手が新たなサービスや自社の製品戦略を訴える中で、企業としての成長性を盛んにアピールしていたのが、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)だ。

 2014年12月期の売上高は、前年比8%増の814億元(約1兆5600億円)で、純利益は同約2倍の26億元(約498億円)に上る。

 主力のスマートフォンの年間販売台数で見ると、同20%増の約4800万台に上り、アジア太平洋地域では前年比で2倍に拡大したという。

 ZTEの設立は1985年。中国・深圳市を本拠地とし、世界に7万人以上の従業員を抱える大企業だ。

 1~3月期の業績も好調なことから、発表後の4月下旬の香港株式市場では、同社の株価が3年以上ぶりの高値を付けている。

 中国の同業最大手、華為技術(ファーウェイ)と比べられることが多く、過去には技術特許の訴訟合戦を繰り広げたこともある両社だが、ファーウェイとの大きな違いは、米国市場で事業の足場を固め始めていることだ。

 現在、AT&Tやベライゾンをはじめ、6社の通信キャリアと連携。米イーベイなどのネット通販を販路として活用しながら、プリペイド式の契約分野では、14年のシェアで2番手につけた。